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迷惑な週刊紙の記事

某週刊紙に薬に関しての読むに値しない、商業ベースを重点においた記事が連載されました。私は、医学の論文、本は毎日読み勉強していますが、いわゆる大衆週刊紙には一切目を通した事がありません。6月初め頃より患者さんが新聞の広告の見出しをもってこられ、某週刊紙に薬の事が掲載されているがどうなのかと質問されました。患者さんにどのような内容か聞いても記事自体を読まれていないので答えようがありませんでした。その後何人もの患者さんが同様の質問をされるので、しかたなく記事を読みました。私の思っていた通りの非常に医学レベルの低い記事でした。まず問題にしているのは需要量の多い薬また薬価の高い薬を無意味に処方するという事です。私達医師は、どの薬の売り上げがいくらかなどを気にして患者さんに処方した事など一度もありません。患者さん及びその病気に対して、合併症が起こらなくまた健康寿命をのばして元気でいてもらうために日々診療をおこなっています。長くなるので次に各論にはいります。高血圧症に対して使用するARBは心臓病の肥大の退縮、心不全の予後を改善し、腎機能の悪化の抑制、糖尿病の新規発症の抑制、抗動脈硬化作用、脳循環改善作用など多数の研究結果が報告され、Ⅰ〜Ⅲ度の高血圧に対しても安全に使用できます。記事に載っているサイアザイド系の降圧利尿剤は確かによい薬ですが、Ⅰ度の高血圧には単剤で使用できるでしょうが、それ以上の高血圧には併用薬を使用する事が多く必要となります。また腎機能障害時には効果の減弱により使用しませんし、夏場の脱水、あるいは頻度は少いがそれこそ他剤の使用で記載していた光線過敏症、血小板減少症なども副作用として出現する事があります。用量調節をして使用すると、耳にした事がないどこかの教授がいわれていますが、少量使用が適切なので副作用が出現した場合、休薬しかないのです。
また、血圧が下がりすぎると脳梗塞になるとの記載がありますが、これは動脈硬化の非常に強い方に対する使用上の留意点であって、後期高齢者(75才以上)であっても、そうでない方は、上の血圧が115以上になると死亡率が上昇してくる事はわかっており、また医師であるならそのような方の血圧を極端にさげるべきではない事は充分承知しています。次にプラビクスですが心筋梗塞の再発予防だけでなく、脳梗塞の再発予防にも有効である報告はいくつもあり、予防は明らかにあります。脳出血の副作用の記載でアスピリンを使用するとの記事もありますが、アスピリンの方がプラビクスより出血リスクは明らかに高い事は明白な事実です。
スタチンに関しては動脈硬化を退縮させ、認知症の発症予防にもなるとの報告はあり、発癌の抑制という報告もある薬で、ごくまれに横紋筋融解症をおこすという事はありますが、腎機能障害者にも注意して使用できる薬です。善玉コレステロールを少くするとの記事ですが、逆に上昇させる事が研究で証明されています。現在もその新しい効果の検証が注目されている薬です。糖尿病に関してジャヌビアは低血糖をおこすことが単剤ではなく、一番最初に使われる薬として推奨されています。併用により血糖低下させる薬は医師であれば充分承知しており、安心して服薬できます。アクトスに関しても安心して服薬できる患者さんに投与しております。よい薬です。アリセプトは認知症の進行を遅らせる薬であり、治癒させる薬でない事は周知の事実です。しかし服用するのとしない場合の認知機能の低下の抑制には歴然とした差がでてきます。睡眠薬の注意点は医師であれば患者さんに普通に説明しており、患者さんも充分に知っておられます。
骨粗しょう症の薬に関しても骨量を増加させる薬はあり、転倒予防にもなる薬はあります。年齢と伴に骨量は減少してくるので、服用により骨量が減少していないという事は、薬が良好に作用していると解釈できます。ロキソニンなどの消炎鎮痛薬はプロスタダランディンの作用をおさえ、血流を減少させるので食後に服用、できれば胃薬との併用というのは、医師であれば当たり前に説明します。服用される患者さんが多いので、小腸、大腸の狭窄をきたした方がごくまれにおられますが、多くの鎮痛薬にいえる事ですが、長期間の服用をさけていただく事が一番だと思います。ロキソニンの作用自体はよい薬です。

まだその他にもいろいろ書きたい事はたくさんありますが長くなるので、またレベルの低いこの記事につきあうのは疲れるので、この辺で書くのをやめますが、要は薬の服用は医師が説明し、患者さんと相談して今後の患者さんの生活によいと思うものを服用してもらっています。
また最終的に服用の有無を決めるのは患者さんです。安心して下さい。

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