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骨粗しょう症に注意しましょう

骨粗しょう症は、「骨強度の低下を特徴とし、骨折のリスクが増大しやすくなる骨格疾患」と定義されています。骨強度の要因の約70%が骨密度、残りの30%が骨質とされていますが、わが国では脆弱性骨折がある人は、骨折リスクが高いことを重視しており、その有無と骨密度の測定結果とを組み合わせて診断しています。それをもとにしたわが国における骨粗しょう症の患者さんは約1300万人(男 300万人、女 1000万人)と推計されています。発生率は年々上昇しています。
骨粗しょう症の具体的な要因としては、若年期における骨量の不足(骨密度は18歳時に最大に達するとされている)、閉経による女性ホルモンの欠乏、カルシウムやビタミンD、ビタミンKの欠乏、加齢による筋力低下や寝たきりなどの不動によるものなどがあげられています。また糖尿病、慢性腎臓病、COPDなど生活習慣病も骨粗しょう症の発症に関係していますし、関節リウマチ、甲状腺の機能亢進症、薬(特にステロイドホルモン剤)も同様です。骨粗しょう症は骨折をきわめて生じやすく、骨折を生じると重大な影響があります。その危険因子は女性、高齢、低い骨密度、既存の骨折、喫煙、過度の飲酒、骨折の家族歴、運動量の不足、やせている事 などがあります。骨折のおこる部位として多いのは大腿骨の近位部や椎体があります。
大腿骨近位部骨折は転倒して起こることがほとんどで、それを生じると日常生活動作の低下や寝たきりに結びつき、それにより10%が骨折後1年以内に死亡するとされています。椎体の骨折は80才以上の方の約40%が罹患していると推定されています。椎体の骨折は新たな椎体の骨折の危険因子となります。骨折は椎体変形が残るため、それが多発すると、脊椎の変形(特に後弯)をきたし、それが強くなると、日常活動性の低下や、消化器、呼吸器、心臓などの機能障害をおこします。

それでは骨粗しょう症の予防はどうすればよいのでしょうか。理想は若い時に(前述の18歳頃まで)積極的なカルシウム、ビタミンDの摂取、適度な体重の維持、適度な強度のある運動をおこなう事などがあります。
中高年においてもほぼ同様ですが禁煙、過度の飲酒の制限などがそれにくわわります。また転倒予防も大事で、前述の運動などにより筋力補強、バランス訓練などをおこなう事です。
またビタミンDは転倒リスクを抑制することがわかっており、薬や食事などにより、積極的に摂取する事も大事です。治療は、その目的は骨折の予防となりますので、前述のカルシウム、ビタミンDの摂取などによる食事療法、運動を積極的におこなう事により骨強度を維持する生活習慣を作る事になりますが、その補助としての薬物療法があります。具体的にはカルシウムは1日に700〜800mgの摂取、ビタミンDは1日400〜800単位(IU)とされており、またビタミンKの摂取も重要とされています。

  • ビタミンDを多く含むもの・・・きくらげ、サケ、うなぎのかば焼き、サンマ、ヒラメなど
  • ビタミンKを多く含むもの・・・卵、納豆、ほうれん草、小松菜、にら、ブロッコリー、キャベツなど
    (カルシウムを含むものはご存知だと思うので省きます)

運動は有酸素運動、筋力訓練(レジスタンス運動)、背筋の強化訓練(椎体骨折の予防)などをおこなうことです。
薬物療法は私達医療機関にこられて必要かどうかの検査をしたうえで、投与の検討説明を致します。
とにかく、健康寿命を維持そして延ばすために気をつけ、頑張り下さい。

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