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認知症とは

現代社会において、大きな社会問題ともなっているものであり、65才以上の高齢者の5〜10%をしめるといわれています。認知症とは、何らかの後発的な要因(脳の疾患あるいは全身の疾患など)によって、知的な能力を構成する認知機能の複数の領域(記憶、言語、行い、認識、人格、実行能力など)が障害され、その障害の程度により健常な社会生活の遂行に支障が出るようになった状態の事です。本来の知的能力の水準が低下していても、通常の社会生活を営むことが可能なレベルであるならば認知症とはいわなく、軽度認知機能障害とよびます。
認知症とは、多くの原因でそのような症状を呈するものがありますが、一応下記のものがあります。

@アルツハイマー型認知症・・・(皆さんがよく耳にされ、また一番多いものです)65才以前頃より高齢者に発症する、原因不明の認知症をきたす疾患です。(発症するリスクとなるものはいろいろ最近いわれていますが)、まれながら早期に発症する常染色体優性遺伝型の家族性のものもあります。症状は緩徐に進行する記憶障害、失語(言語の障害)、失行(運動機能は損なわれていないのに動作を遂行する能力の障害)、失認(感覚機能が損なわれていないのに対象を認識あるいは同定できない事)などを主症状とし、その後異常な体動(錐体外路症状)も加わり、最後は寝たきりなどになり、肺炎、尿路の感染、じょく瘡などの感染症でなくなられる事が多いです。

A血管性認知症・・・アルツハイマー型認知症に次いで多いとされ、脳の血管障害が原因で起きてくる認知症です。脳梗塞、脳出血、くも膜下出血などの発症の後におきてくる事が多いですが、これらの発作がはっきりしないラクナ梗塞(かくれ脳梗塞)があり、徐々に発症してくる認知症も知られています。症状はアルツハイマー型認知症と大きな違いはありませんが、血管障害の部位によって、言語機能の障害が強いあるいは記憶障害が強いといったまだら状の認知機能の低下がみられる事もあります。

Bレビー小体型認知症・・・アルツハイマー型認知症、血管性認知症とともに三大認知症といわれいています。注意や覚醒レベルの顕著な変動を伴う動揺性の認知機能の低下を中心とします。また家族や医師に繰り返し説明される具体的な内容の幻視もこの認知症の中核的特徴です。そして筋肉の強剛、動作緩慢、前傾姿勢、小刻み歩行、表情の乏しい顔貌などのパーキンソン様症状も中核的症状となります。また睡眠時、夢の内容に関連して大声をあげたり、四肢をばたつかせたり、歩きまわったりする いわゆるレム睡眠行動障害は認知機能の低下より数年以上先行して出現するという報告もあり、前駆症状となる可能性もあります。

C前頭側頭型認知症・・・性格の変化や反社会的行動を特徴とします。すなわち潜在的に発症し、早期から社会的行為、行動が制御されなくなり、感情が鈍麻し、病識が欠如します。すなわち、清潔と整容ができなくなり、頑固で精神的な柔軟性に欠け、注意が散漫となり、食物の好みが変わるなどがおきます。記憶などは比較的保たれます。

これらに、かかられているかを診断するには、患者さんとお話したりしながら検査する認知機能検査や脳の異常を診断するための頭部のMRIなどをおこない、二次的に他の病気でおこっていないかなどを鑑別するために、血液検査(ビタミンB1、B12、葉酸の欠乏、肝機能、腎機能、甲状腺機能の異常、糖尿病、電解質の異常の有無など)をおこないます。
治療も病態、症状に応じて慎重におこないます。
その他にも予防などいろいろ書きたい事はありますが、ご本人、あるいはご家族の方でそうではないかと思われる方は、当院のもの忘れ外来(予約制・電話にて)においで下さい。

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