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心臓病と睡眠呼吸障害は密接に関係していますよ

睡眠呼吸障害は約10年前程度前に、公共交通機関の運転士の居眠り事件をきっかけに注目を集めるようになり、その後も同様の事象の報道により、多くの国民が知る病態となりました。
睡眠呼吸障害は、その発症機序などにより、いくつかの病態がありますが、ここでは多くの方が罹患されている閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)という病態と心臓病との関係を説明します。

OSAは、わが国での正確な患者さんの数は不明ですが、(約200万人以上と推定している報告はあります)しかしそれより治療が必要な患者さんの約85%が未診断といわれています。
OSAの自覚症状として一番よく知られているのが、睡眠中の大きないびきや、昼間の過剰な眠気ですが、その他にも熟睡感の欠如、全身のけんたい感、夜間の頻尿、夜間の呼吸困難なども報告されており、また、胃液が食道内に逆流する胃食道逆流症や、口呼吸をおこなうことにより扁桃炎をくり返しおこす事も知られています。つぎに本題の心臓病について説明します。

@高血圧・・・OSA患者さんの50%に高血圧が認められ、逆に高血圧患者さんの約30%にOSAが認められます。特に薬を服用しても血圧が良好にコントロールできない いわゆる薬剤耐性高血圧の患者さんにおいては80%がOSAを合併しているとされています。

A心不全・・・心不全患者さんの約30%にOSAを合併しており、男性にやや多いとされています。危険因子は男性では肥満、女性では加齢(高齢)であり、OSAの合併により、死亡および入院が高くなるとされています。

B不整脈・・・OSAにおける不整脈の合併率は高く、特に夜間の不整脈はOSA患者さんの50%に認められます。特にOSAが重症になるほど不整脈のリスクは高くなります。(2〜4倍)

C虚血性心疾患(狭心症など)・・・虚血性心疾患の患者さんは、そうでない患者さんにくらべて約2倍の確率でOSAを合併しています。逆にOSA患者さんは1〜7倍のリスクで虚血性心疾患を発症すると報告されており、また治療をされていない重症OSA患者さんは健康な方にくらべ約3倍の心臓・脳血管の病気による死亡率があると報告されています。

D突然死・・・心臓が原因で突然死をきたした報告によると、深夜0時〜午前6時の時間帯にOSAの患者さんは、そうでない患者さんに比べ約2.5倍の頻度で突然死をきたしたとされており、一般的にも高頻度で上記をおこす危険が高い事がいわれています。

E肺高血圧症・・・肺の血管の圧力が高まり、呼吸困難や心不全などの病態をおこすもので、OSAの患者さんの約20%に合併するとされています。

F脳血管障害・・・OSA患者さんは、そうでない方とくらべ脳卒中および死亡のリスクは有意に高いとされています。(約2倍)

上記などにより、OSA患者さんの生存率は有意に低下し、心血管系の病気に限定すると無治療だと約3倍のリスクで死亡するとされています。それではそれらに対してどう治療すればよいのでしょうか。それは下記などをおこなうことです。

肥満はOSAの最も重要な危険因子であり、減量は常に励行されるべき治療法です。
肥満以外でOSAの要因となるとされているのは喫煙、睡眠剤の使用で、これらは修正可能です。性別(男性に多い)、加齢も要因もありますが、性別は修正不能ですが、運動はそれによる抗酸化ストレスによって、ある程度加齢による現象は予防はできます。
また、肥満に対する改善も期待できます。またOSAは睡眠中の体位によって無呼吸の程度が増減することがわかっており、一般的に仰臥位では悪化し、側臥位では軽減します。そのため、睡眠時 枕やクッションなどを背中にあてる事も有効とされています。
その他 薬物療法、機械を使った気道療法がありますが、専門的になるので割愛します。

要はOSAはよくない病態であり、日中の眠気が強い、あるいは家族の方に睡眠中大きないびきをかいている、睡眠中息をしていない事が頻回にあるなどと指摘された方はその可能性が高く、検査などが必要と考えられています。御相談下さい。

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