お知らせ

PET検診は有用ですが・・・

近年、医療施設での悪性腫瘍の診断に加え、個人の死亡リスク減少を目的とする任意の癌検出を目的とした検診に、PET(ポジトロンエミッショントモグラフィー)が用いられる事が多くなってきました。PET検診による癌の発見率は従来の画像診断検診の約10倍を超える2%前後と報告されています。確かに肺癌、乳癌、大腸癌、頭頸部の癌、膵癌、食道癌、子宮癌、卵巣癌、悪性リンパ腫などにおいては原発した病巣、転移した病巣も描出されることが多く(特に病変の大きさが1cm以上であれば)、非常に有用な検査です。
しかし、PET検査を行えば、すべての癌が検出されると思っておられる方も多いですが、(医師の説明不足が原因の多くをしめると考えられます)下記のような場合検出できない事も当然あります。
癌の病変が小さい場合(約4mm未満)、前立腺癌、甲状腺癌の一部、胃の印環細胞癌やスキルス胃癌とよばれている悪性度の高いもしくは進行した癌、卵巣がん、一部の肺癌(特に肺腺癌)及び一部の乳癌などです。しかしこれらの癌も進行して転移していたら、転移した病巣は検出できる可能性は高いです。
上記より考えられる事は、医療施設での癌の病期の診断、治療後の再発の診断、治療効果の判定、予後の予測など悪性腫瘍の診療には、ほぼ必須な検査です。同様に任意の検診においても有用ですが、PET検査は癌の診断がついている、あるいは他の画像診断で癌が強く疑われるが組織の診断で確定できない患者さんに保険の適用があるもので任意の検診においては検査費用は自費となり非常に高額です。したがって癌検診においては、他の画像検査をうけられた後、その結果をもとに医師との相談の上、PET検査をされるかどうかを決められる事をお勧めします。
以上、患者さんからの質問が時々あるため、私見としてお答えします。

お知らせの一覧を見る