お知らせ

血清ペプシノーゲン検査陽性とは?

最近人間ドックで検診された方が、上記の結果を持ってこられ、説明を求められる事が時々あります。ペプシノーゲン(PG)は胃から分泌される消化酵素ペプシンの前駆体で、PGⅠ、PGⅡが存在します。これらは血液中に微量に存在し、その主成分はPGⅠで胃酸分泌能の指標となり、PGⅠが高いと、十二指腸潰瘍のリスクになると考えられています。一方で慢性胃炎の持続の結果生じる萎縮性胃炎は胃癌発症のハイリスク(前癌状態)と考えられており、その進展に伴いPGⅠおよびPGⅠ/Ⅱの比の低下が強く関係することがいわれています。したがって上記のことを胃癌検診に利用しその判定に用いられていることを表題は意味しています。具体的には下記のように判定します。

  • ① PG 陽性
    PGⅠ値 ≦ 70㎍/ℓ かつPGⅠ/Ⅱ比 ≦ 3.0
  • ② PG 中等度陽性
    PGⅠ値 ≦ 50㎍/ℓ かつPGⅠ/Ⅱ比 ≦ 3.0
  • ③ PG 強陽性
    PGⅠ値 ≦ 30㎍/ℓ かつPGⅠ/Ⅱ比 ≦ 2.0

①,②,③は胃癌のリスクマーカーとして使用されており、各々の集団での胃癌発生率(年率)は①0.28% ②0.32% ③0.42%とされており、胃癌発生率は段階的に上昇します。つまり、PG陽性群は確実な「胃癌ハイリスク」であり、胃内視鏡での精密検査が望ましいとされています。しかし一方でPG陰性群よりも胃癌の発生は少からずみられており、血清のPG単独では胃癌検診を行うことは適切ではないとされています。したがってPG陰性群でも少くともバリウムによる胃X線検査による検診は必要と考えられます。
以上簡単に説明しておきます。


お知らせの一覧を見る