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脂質低下療法(冠動脈を患われた方を中心として)

以前にも記載しましたが、脂質異常症とはLDLコレステロール(LDL-C)またはトリグリセリド(T.G)が高値を示すか、HDLコレステロール(HDL-C)が低値を示す病態の事です。
これは前回も記しましたが、冠動脈の病変の危険因子であり、特にその中で最も影響があると考えられているのが、LDL-Cです。LDL-Cが高いと冠動脈疾患が増加する事は明らかになっていますが、T.G高値やHDL-C低値も動脈硬化のリスクとなります。しかし後者に関しては、どれだけ是正すればよいのかという目標を示す明らかな指標はなく、これにかわるものとしてnon HDL-C(総コレステロール(T-CHO)ーHDL-C)を用いて脂質異常症の管理を行うことが一般的になっています。non HDL-CはLDL-C+30と考えられています。

多くの研究ではLDL-Cが低ければ低いほど心血管の病気が減少することが示されており、この事をthe lower, the better(LDL-Cが低ければ低いほど病気になりにくい)といわれています。
実際血管の中にカテーテルを入れて動脈硬化巣を観察した研究で、LDL-Cの低下に伴い動脈硬化巣が退縮した事が証明されています。それではLDL-Cは、どれだけ低下させればよいのかという事になりますが、冠動脈の病気をされた後の方は100mg/dl以下とされています。
しかし欧米では上記のように動脈硬化巣を退縮させるためには70mg/dl未満がよいとしています。もちろんそのためには食事などの生活習慣の是正を第一に行う事が必要ですが、薬物療法も多くの方が必要と なってくると思われます。最近LDL-Cを非常に低下させるよい薬も使えるようになっており、そういう面も考えると冠動脈を患われた方に対しての脂質の是正も行いやすくなっています。以上脂質低下療法をかいつまんで説明しました。

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