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味覚障害に関して

味覚とは基本的に「甘味・苦味・塩見・酸味・うま味」の5種類の基本味とされており、舌にある味蕾という器管で感知されます。これが障害される事によっておこることが味覚障害です。味覚障害は日本人の高齢化が原因の一つとされており、発生年齢も高齢側へ移行していると報告されています。男女比では女性のほうが多い事がわかっています。
味覚障害の原因の多くは亜鉛という微量元素の欠乏による事が多いとされています。いいかえるならば、味覚の異常な人が自覚できる亜鉛欠乏の唯一の初期症状ともいわれています。
亜鉛は体重60kgの人で約2g体内に含まれており、その1/2は血流中(筋肉)に、1/4〜1/3は骨に含まれています。亜鉛欠乏の原因の第1は亜鉛摂取量の不足であり、約10年間で1mg/回減少しています。亜鉛の推奨されている必要量は男性13mg/日、女性9mg/日ですが、実際の摂取量は約7(女性)〜9(男性)mg/日にとどまっています。第2の原因は日本人の高齢化に伴い、色々な病気を患われ、複数の亜鉛の吸収をさまたげる作用のある薬を服用されている事です。
第3の原因は日本人の食事の60%以上が加工食品であるという現状があり、これも亜鉛の吸収をさまたげる添加物が使用されている事が多く、摂取不足の原因となっています。
これらの事をふまえ味覚障害に対する治療は亜鉛欠乏の人には当然亜鉛の補充をします。さらに検査において血液中の亜鉛値が一応正常な特発性味覚障害と診断されている人にも亜鉛の投与が、亜鉛欠乏性味覚障害の人と有意差がなく有効であるとされており、これらの人にも亜鉛投与を行います。(上記の事より特発性という必要がないともいわれています。)
問題なのは心因性味覚障害といわれる、心身症、神経症、うつ、人格障害などの関与が強く考えられる人で、この場合、心療内科あるいは精神科的治療が同時に必要と考えられています。
心因性味覚障害の特徴としては@60代女性に圧倒的に多いA味覚検査はほぼ正常であり、心因要素の多い自発性味覚異常、口渇、舌痛症を多くの場合合併しているB血清亜鉛値の低下例は少く、亜鉛内服療法をおこなっても効果は著しく悪いなどです。
したがってこれらの人には上記の科による簡易な精神療法や認知行動療法などが必要と考えられており、実際それらを亜鉛摂取と併行しておこなうと有効率は著しく上昇したとの報告があります。
以上、味覚障害に関して簡単に説明しましたが、そう思われる人は我々医師にご相談下さい。

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