お知らせ
機能性胃腸症(ディスペプシア)
胃もたれなどの上腹部を中心とする症状のことをディスペプシアとよび、上部消化管内視鏡検査などで器質的疾患を認めないにもかかわらず上腹部の症状をもたれる病態のことを機能性ディスペプシアとよびます。日常我々医師が診療する機会の多い病態です。
機能性ディスペプシアには食後の症状を主体とする食後上腹部愁訴症候群(PDS)と食事との関連のないみぞおちの痛みなどを主体とする心窩部痛症候群(EPS)があります。
●PDSは下記のような診断の基準があります。
少なくとも週に数回
- ①通常量の食後に、つらいと感じる食後のもたれ感が起こる
- ②通常量の食事を終了することをさまたげる、早期に腹部飽満感が起こる ※①,②のうち一つあるいは両方を満たすこと
補足として
- ①上腹部膨満感や食後の嘔吐、あるいは過剰なげっぷが起こる
- ②EPSが合併する事もある
●EPSの診断の基準は下記となっております。
- ①少なくとも週に1回みぞおち(心窩部)に限局した中等度の痛みあるいは灼熱感がおこる
- ②間欠的な痛みである
- ③胸部あるいは心窩部以外の腹部の領域には局在しない
- ④排便や放屁により軽快しない
その他1項目ありますが、説明してもわかりづらいと思われますので省略します。(受診時にお聞きします)
上記をすべて満たすこととされています。
補足として
- ①痛みは食事摂取により誘発あるいは軽快するが、空腹時におこってもよい
- ②焼けるような痛みでも胸骨の後部に発生するものではない
- ③PDSが合併することもある
しかし、PDSやEPSの症状は消化管などに器質的な病気をもっておられる場合にも当然おこります。したがってお話を聞いてもその鑑別がむつかしい場合には胃カメラ、腹部エコー、血液検査などをおこなっていただくようになります。さらに腹部の血管が関与して症状をおこしている場合もありますので、それを疑った場合には腹部のCTやMRIをおこなっていただくこともあります。
PDSやEPSの診断がついたら、その症状が緩和されると思われるお薬を服用いただきます。
症状は改善することは多いです。上記を読まれ機能性ディスペプシアかなと思われたら受診して下さい。