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気管支喘息の発症及び増悪の予防のために

気管支喘息は、現在継続して治療を受けられている方が、わが国では約89万人いるとされており、医療機関を受診していない方を含めるとさらに多いと推測されます。喘息を男女比でみると、若年齢では男性優位で、思春期以後は女性優位となり、その有症率は小児で11〜14%、成人(15歳以上)で6〜10%となっています。喘息発作をおこされて当院を受診される方をこの梅雨の時期にも時々見受けます。それは喘息発作を発症させたり、症状を増悪させる因子があるからです。その増悪あるいは発症を防ぐためには喘息と診断されている方には下記の事に留意して下さい。

  1. 喘息の原因となっているもの(アレルゲン)から回避する事
    ①の中で重要な事は家庭中のダニの除去であり、床、畳、布団カバー、シーツなどのこまめな掃除あるいはカバーなどをとり替える事です。ペットのアレルゲンの除去も重要です。
  2. 呼吸器の感染症
    ウイルス性呼吸器感染症は喘息の増悪因子であり、さけられない事も多くありますが、ワクチンの接種は有用です。
  3. 運動
    運動は、短時間の喘息発作を引き起こす症状を誘発する増悪因子であり、それによりおこる過換気も増悪因子となります。しかし小児における運動は心身の発達に重要なものであり、予防薬の使用など種々の方法を選択して運動を勧めることも大切です。
  4. 喫煙
    喫煙は能動・受動喫煙ともに発作を増加させ、呼吸機能も悪化させます。特に小児においては母親の喫煙の影響が最も大きいとされており、禁煙は重要です。
  5. 気象の変化
    気象の変化(曇天、台風、気温の急激な変化)と喘息発作には因果関係があります。
    国内の報告では前日と比較して3℃以上の気温の低下で発作が起きやすいとされています。
  6. 感情変化とストレス、過労
    笑う、泣く、怒る、恐れるなどの感情や疲労感などは喘息発作の誘発や増悪因子となります。
  7. 刺激物質
    タバコの煙に加えて、線香、蚊取り線香、焚き火、花火などの煙や、化粧品、ヘアスプレー、生花などの臭気の吸入で喘息発作が誘発されることがあります。
  8. アルコール・肥満
    飲酒は一部の喘息の患者さんで症状を増悪させます。肥満の方も症状を悪化させる可能性が示唆されています。
  9. 薬・食品添加物
    アスピリンを始めとする炎症をおさえる薬は喘息発作を誘発させることがあります。(アスピリン喘息)
    また、着色料などの食品添加物によって発作が誘発される事があります。
  10. 鼻炎
    喘息患者さんの70%近くに喘息の合併が認められるとされており、鼻炎は喘息発病のリスクであると同時に、その合併は喘息のコントロールに悪い影響を与えます。

上記の事を留意され、つらい喘息発作をおこさなないように頑張って下さい。
また、発作をおこされた場合は、我慢することなく早期に当院など医療機関を受診して下さい。早期の受診が非常に大切です。


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