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高齢者の虚血性心疾患(狭心症・心筋梗塞など)

高齢者の虚血性心疾患(IHD)は、その人口の増加とともに今後も増加することが予測されており、その適切な診断・治療を行うことがわれわれ医師に求められています。
高齢者のIHDの自覚症状は、典型的な胸痛を欠くことがしばしばあり、胸部の不定愁訴や息切れ・嘔気・めまい・食欲不振やなんとなく元気がないなどさまざまな非典型的な症状を呈し受診される事があります。特に80才以上の超高齢者の心筋梗塞を発症された方の半数以上が上記のような非典型的な症状を呈するとの報告もあります。また高齢者の方は併存する病気も多く心不全を合併する事もしばしばであり、我々医師の診断を困難にする事があります。したがって普段感じた事のない症状(時に命に対する恐怖を感じる事もあります)を認めた場合は、医療機関へのすみやかな受診が大切となります。(IHDには限りませんが)早期の治療が必要と医療機関で診断された場合、主として高齢者の場合でも心臓カテーテルを用いた治療が行われます。(病変により外科的な治療を行う場合もありますが)
緊急をようさないIHD(安定狭心症)と診断された場合、心エコーを始めとする非観血的な検査をおこない心臓カテーテル検査および治療が必要かどうか十分に吟味された上で判断されます。カテーテルによる治療を行った場合、その後は行わなかった場合も含め薬物による治療を行います。
また高齢者のIHDに対する運動療法(再発・重症化あるいは心不全の予防などのために)は死亡率の減少や心筋梗塞をおこされた方の再発の減少などの予後の改善効果がいろいろな研究から示されており大切です。その効果は運動に対する耐用能の改善、骨格筋の筋力増強、IHDの危険因子(血圧・糖・脂肪の異常など)の改善、自律神経機能の安定化や抑うつなどの精神・心理的因子の改善などが報告されています。これは在宅で行われた場合も、入院中などに行われた場合と同等の効果があることが報告されています。(運動療法とは歩行などの有酸素運動やそれに少々の筋力の負荷を伴ったレジスタンス運動を併用する事です)
今まで記した事は、高齢者の方の多様な価値感に対する理解と尊重に基づいた診療がおこなわれてきており、信頼されて受診して下さい。


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