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心不全予防と高血圧

心不全とは、急性、慢性を問わず心臓(心筋)の機能の障害により、心臓が全身が必要とする酸素に見合う血液量を送れなくなった状態であり、日常生活に大きな支障を来たす病態です。器質的な原因としては虚血性心疾患、心臓弁膜症、高血圧症、心筋症(何らかが原因で心臓の筋肉の異常をきたす病態)などがあります。心不全はわが国では高齢化の加速とともに急速に増加しており、特に80歳を境にその増加は顕著となっています。
自覚症状としては全身けんたい感、易疲労感、息切れ、尿量の減少(夜間は多尿)、手足の冷感浮腫や進行すると呼吸困難などをきたします。
そしていったんこれらの心不全の病状が顕性化すると生命の予後が悪化するため、早い段階から原因となる疾患の管理が重要となります。最近では高血圧の重要性が指摘されており、心不全の約5割に高血圧が合併していることがわかっています。たとえばいくつもの研究をまとめた報告では収縮期血圧10mmHg/拡張期血圧5mmHgを投薬などにより低くする事によって心血管の事故を29%、心血管が原因となる死亡を33%そして心不全を37%抑制したとされています。他の大規模な多くの研究でもほぼ同様な事が報告されています。
したがって心不全の一時的な予防には若年者からの厳格な降圧が重要かつ有効で、心不全の罹患率が高く、再入院、死亡のリスクが高い高齢者ほどそれによる心不全発症抑制のメリットが大きいのです。降圧は24時間にわたり十分に降圧する事が重要と思われ、高齢者においても忍容性がよければ(副反応がなければ)少くとも収縮期血圧を140mmHg未満にする事が望ましいとされています。
その他糖尿病や脂質の異常が原因となっている心不全も増加傾向にありますが、今回は高血圧における血圧の管理について簡単に説明しました。


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