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リンパ浮腫の保存的治療
リンパ浮腫は先天性のものを含めた原因不明の一次性(原発性)と、明らかに原因のある二次性(続発性)に分かれますが、一般的に続発性のものがほとんどを占めます。特徴としては浮腫は多くが片側性であり、両側性のものでも初期、軽度の場合を除いて必ず左右差があります。リンパ浮腫の保存的治療は軽症な場合は(いわゆる一晩寝るとほぼ消失する時期などに相当)あまり対象にならなく、それより進行した場合に行う事が多いですが、なかなか完全な治癒に到る事は多くありません。
治療の概要を説明します。基本は@患肢の挙上です。浮腫液は重力に従って下方に落ちるので患肢を心臓より高い位置に保つと軽度の浮腫であれば大幅に軽減します。
その次にはAリンパドレナージであり、挙上のみで排液できない部位をより積極的に刺激し浮腫液を積極的に心臓方向へ誘導する方法です。安静な状態が持続できるのであれば、これらの手技によりかなりの浮腫は改善されます。しかし日常生活では起立位となりますので@、Aで改善された患肢に再び浮腫液が逆流し、また浮腫が増悪します。
そのため、これをある程度阻止できるのがB弾性スリーブ・ストッキングまたは弾性包帯(弾性着衣)です。また運動療法も重要です。リンパドレナージは表面から患肢に刺激を加えますが、運動療法では内部の筋肉を動かすことによってリンパ管への刺激が可能となり、リンパ液の流れを活発化するからです。したがって弾性着衣などで圧迫したうえでの患肢の運動が重要となります。
さらにC患肢を清潔(蜂窩織炎の予防など)にし、感染を起こさないことも大切です。この日常生活上の注意を加えた@〜Cを複合的治療とよばれており、推奨され普及が図られています。患肢の象皮化などの重症な方以外では感染などに充分注意されながら上記を行われたなら、少からず改善がえられる可能性はあります。われわれ医師と相談して試みてみられてはと思います。