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ステロイド性骨粗しょう症

骨粗しょう症に関しては、一般的な概略は以前に記載しました。今回は薬剤が関連する骨粗しょう症でその認知度及びその予防があまりされていないステロイド性骨粗しょう症について説明します。副腎皮質ステロイド(以下ステロイド薬)は強力な抗炎症作用と免疫抑制作用を有して膠原病・リウマチ性疾患・アレルギー疾患・腎疾患・呼吸器疾患・消化器疾患・神経疾患・内分泌代謝疾患・皮フ科疾患など幅広い領域の多様な疾患の治療に汎用されています。しかしステロイド薬は糖・脂質・骨などの代謝異常を必発させます。このステロイド薬による骨代謝異常はステロイド性骨粗しょう症と呼ばれ、副作用の1/4を占め、現在その患者さんは150万人以上いるとされています。またそれによる骨粗しょう症は脆弱性骨折を生じ、骨密度が正常でもステロイド薬の服用後早期から骨折を生ずる事も少なくありません。骨折はステロイド薬を長期使用されている患者さんの30%〜50%に発生し、小児から成人、高齢の方までどの年齢でも生じます。
一度骨折をおこすとQOLが著しく低下し、しばしば生部予後にも影響します。
しかし、ステロイド性骨粗しょう症は薬剤により骨折発生率を抑制できることも明確にわかっています。ここではその対処及び治療法を記載します。まずステロイド薬を3ヶ月以上使用中か使用予定の18歳以上の男女の患者さんは、投与量や投与期間にかかわらず喫煙や過剰なアルコール摂取などの生活習慣の改善、ビタミンDやカルシウムの補充、普段からの運動や歩行の習慣の励行、荷重運動、転倒予防、脊椎骨折の際の歩行時のコルセットの着用など一般的な予防法をおこなって下さい。その次に下記に示す危険因子による点数評価が3点以上ならば薬剤服用の適応となり、3点未満でもステロイド薬治療中は定期的に点数評価し、3点以上になればやはり服用の適応となることもご承知下さい。

危険因子 スコア
既存骨折 なし 0
あり 7
年齢 50歳未満 0
50〜65歳未満 2
65歳以上 4
ステロイド投与量
(mg/日)
(プレドニン換算)
5未満 0
5〜7.5未満 1
7.5以上 4
腰椎骨密度
(%)
80以上 0
70〜80未満 2
70未満 4

ステロイド性骨粗しょう症は高頻度に発症し、前述のようにそれによる脆弱性骨折はQOLを著しく損ないます。そのためステロイド薬を服用されている方は今日記載した事を充分に認識されておいて下さい。医師の認識・対処治療が非常に重要である事はもちろんですが、当院では充分におこなっています。

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