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急性気道感染症の治療は?

急性気道感染症を発症させる原因のほとんど(約80〜90%)はウイルスです。その主なウイルスは鼻や咽頭症状が主症状のライノウイルス、コロナウイルス、冬季に多く(インフルエンザ流行期より早く11月〜1月頃に多い)乳幼児では気管支炎、細気管支炎、肺炎などの原因として知られているRSウイルスやインフルエンザウイルス、パラインフルエンザウイルス、アデノウイルス、コクサッキーウイルス、エコーウイルスなどです。アデノウイルスは夏季に主としてみられ、小児を中心に咽頭炎を起こすことが多く、時に気管支炎を起こすこともあります。ウイルス以外ではマイコプラズマやクラミジアが気管支炎の原因となり、最近ではA群溶血性連鎖球菌(溶連菌)による急性咽頭炎がよくみられます。これらの急性気道感染症は鼻症状(鼻汁、鼻閉)、咽頭症状(咽頭炎)、下気道症状(咳、痰)の3系統の症状によって下記の4型に分類されます。

鼻汁・鼻閉 咽頭痛 咳・痰
@非特異的上気道炎
A急性鼻・副鼻腔炎 × ×
B急性咽頭炎 × ×
C急性気管支炎 × ×

△…強くない程度に複数あり
◯…主症状
×…原則としてない

@はかぜ症状の大半(7〜8割)を占め、原因はウイルス感染症です。これに対しての治療は症状をやわらげるための対症療法が主体となり、抗菌薬(抗生物質)は副作用が増加し適応はありません。

Aも同様に対症療法をおこない、発症7日以内は原則として抗菌薬の適応はありません。しかし頬部の自発痛や圧痛が強い場合には適応となります。

Bも同様ですが、溶連菌感染が診断されたり、強く疑われる症状の場合は抗菌薬の適応となります。

Cに対してはいわゆるルーチンの抗菌薬の投与は罹病期間の短縮や肺炎などの合併症の予防に対しての有効性はなく勧められていません。やはり対処療法が主体となります。

なぜこれらの疾患に対する抗菌薬の投与の有無を強調したかというといまだに一部の患者さんがその投与を希望される事があるからです。適応と認められないものに漠然と投与すると耐性菌(その抗菌薬に対する)が出現しその抗菌薬の投与が必要な時に患者さんの病気に対してきかなくなることがあります。したがって我々医師は病気の説明、発熱などに対する不安の軽減や経過を観察する必要がある場合はそれに対しての説明をしますし、再度受診していただきたい場合(いったん改善していた症状が再度増悪した時など)は抗菌薬の投与の必要性もあることも含めその旨をお伝えしておきます。また患者さんも医師から説明もなく抗菌薬を投与された場合それはどういう理由で投与したのかと質問して下さい。

上記に記載した事をよく理解して下さい。そして受診して下さい。

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