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薬をずっと飲まないでよくなる高血圧症はあるの?

高血圧症には遺伝的な要因、環境的な要因など色々な要因が関与はするが、原因を特定することはできない本態性高血圧症と、ある特定の原因によって発症する二次性高血圧症があります。そして後者は前者にくらべその病態も治療方針も大きく異なっています。
つまり極端な言い方をすれば、原因をとり除けば理論的には治癒する可能性があるのが二次性高血圧症なのです。二次性高血圧症の頻度は現在では高血圧症の患者さんの10%以上あると考えられており、決して頻度は少くありません。その原因の中で頻度が最も多いと考えられてきているのが、睡眠時無呼吸症候群によるものです。また原発性アルドステロン症も内分泌性高血圧の中では最も頻度の高い病気です。(時に当院でもその患者さんを診察する事や、どうすればよいかとセカンドオピニオンを受ける事があります。)その他、腎血管性高血圧症、腎実質性高血圧、甲状腺機能亢進症あるいは低下症、副甲状腺機能亢進症、先端肥大症、クッシング症候群、褐色細胞腫、高安大動脈炎、大動脈縮窄症、薬剤による誘発される高血圧症などさまざまな病気が原因としてあげられます。(病気の名前を覚える必要はありませんが、もし自分が上記などのうちどれかによって発症したと診断されれば、その病気は医者の説明をもとに理解あるいは勉強して下さい。)
したがって自分が高血圧症だと診断された場合、二次性高血圧症の可能性はないのかと考え、医師に対して質問し、あるいは説明を求める事は大切だと考えます。そのためには二次性高血圧症を示唆する一般的な特徴を知っておく事は重要です。その特徴の一部を簡潔に記載します。
若くして発症する高血圧症、重症の高血圧症あるいは医師の投薬などの治療に抵抗する高血圧症、今まで正常血圧だったのに急激に高血圧を発症した(薬剤服用により発症した場合も含む)高血圧症などです。これらの事をふまえ二次性高血圧症と診断された場合、冒頭で記載したようにその原因を取り除く事ができれば、高血圧症に対する治療を中止する事ができる場合があるのです。(すべての疾患ではなくまた治療を中止した場合多くの場合、一定期間毎の経過の観察は必要となります。)
治療が必要な高血圧症だと患者さんにお話した時、薬は生涯服用するのかあるいは服薬をやめる事はできるのかなどの質問を多く受けます。基本的には本態性高血圧症の患者さんの場合、フレイルあるいはサルコペニアが進んで自宅で安静・介護されるようになった場合、それ以外の何らかの身体におけるイベントが発症し上記と類似な症状になった場合などを除き服薬を長期間続けていただく必要がある場合が多いです。したがって今回は病気自体の中には良性とはいえない疾患もありますが、高血圧症という観点から薬を中止あるいは休薬できるものもありますよという事を説明しました。
自分の病態に対して疑問のある方は、どうぞ当院においで下さい。

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