お知らせ
インフルエンザの季節になりましたね
インフルエンザの流行時期が近づいていますね。現に当院ではインフルエンザの患者さんを診療するようになってきています。そこで今回はインフルエンザに関して新しい知見も含め説明します。インフルエンザは例年ではまずA型が流行し(流行の中央日は1月末が多い)それより約1ヶ月遅れてB型が流行します。(流行中央日3月が多い)昨年はA型とともにB型が大流行しましたが。
患者さんの年齢ではH1N1pdm(2009〜2010年に大流行したウイルス)は19歳以下の若年者がほぼ過半数を示めます。H3N2(A香港型ウイルス)は20歳以上の成人に多く認められる傾向にあります。B型は19歳以下の若年者の比率が高いようです。症状は皆さんよく知っておられると思うので省略しますが、発熱に関しては年齢が高いほど最高体温は低く、特に60歳以上では60歳未満より顕著に低くなるようです。(ちなみにH3N2で最も高く、H1N1pdmやB型では低くなるようです。特にB型は最も低くなります。)これに関して追加すると37.5℃以上を発熱とすると、37.5℃未満に下熱したが24時間経過以降に再度発熱した場合を二峰性の発熱といい、二峰性ではないが抗インフルエンザ薬を投与されるも72時間以上発熱が続く場合を遷延性の発熱といい、この場合そうでない場合にくらべウイルスの体内での残存率が高い事がわかっています。(特にB型でみられる事が多い)。このインフルエンザにならないためには、やはりワクチンの摂取が有効です。(特にH1N1pdm、B型ではH3N2では変異などにより有効性が低下する事はあります)しかしその有効性にも限界があり、現在海外ではすでに使用されている経鼻噴霧による弱毒性ワクチンが使用許可申請中であり、近い将来使用できるようになる可能性はあります。インフルエンザの治療薬としては皆さんよくご存知のタミフル、リレンザ、イナビルそして注射薬であるラピアクタがありました。今年(2018年3月以降)になりゾフルーザという前記の薬とは作用機序が違う単回の経口投与が用法の薬が発売され、有効性も前記の薬と同等かそれ以上ではないかとの知見がだされています。(使用した患者さんの数はまだ少なく詳細な検討はできていませんが)これらの薬を使用した場合の下熱時間はA型で30時間前後、B型で30〜40時間前後です。なおインフルエンザの場合、原則抗生物質の投与は不要です。しかし高齢者では細菌性肺炎を合併する事が時にみられますので、これが危惧される場合検査をおこなったうえでの抗生物質の投与が早期より必要となります。また熱がさがっても咳、喀痰、鼻汁などが長引くことがしばしばあります。この場合炎症をおさえる事、粘膜の免疫の増強作用を求める事、抗ウイルス効果などのためにある種の抗菌薬を投与する事はあります。(当院では時々投与しています)
これにより約1〜2週間の経過でインフルエンザの症状はほぼ消失します。
インフルエンザに対する感染対策では家庭内での感染は30%程度にみられ、感染は発端者患者の発症から2〜3日後に多い事を考えると、発端者の早期の治療と他の家族への接触の機会を減らす事が重要です。これに関しては患者さんのマスクの着用は一定の効果はあります。しかし患者さん以外の家族の人へのマスクの着用、うがい、手洗いの効果についての評価は定まっていません。また小中学校、幼稚園、保育園などでは感染が短期間のうちに広がるため、患者さんの出席停止や学級閉鎖、休校などが有効な事はよくご存知と思います。まだ色々お伝えしたい事はありますが長くなるので終了します。受診されてきた場合には説明し質問にはお答えします。要はインフルエンザに感染された人は上記の事をおこなって休養する事が、本人またまわりに対しても大切です。これからの時期に対して参考になればと考えます。当院においては診断治療に関して最新の機具知見をもっておこなっています。お困りの場合受信して下さい。