お知らせ

抗菌薬(抗生物質)の耐性を理解しましょう

以前にも冒頭の表題に記した事と類似の記述をした事がありますが、もう一度みなさんのために記しておきます。抗菌薬が無効になる感染症を薬剤耐性感染症といい、現在世界的に拡大してきて大きな社会問題となってきています。その一方で新しく抗生物質が作られてくることは少なくこのままでいけば薬剤耐性感染症に太刀打ちできなくなる可能性が考えられます。そのために我が国においては2020年までにヒトの抗菌薬の使用量を全体として33%減少し、特によく使用される抗菌薬においては2013年の水準から50%減少を目標としています。
そのためには、みなさんの理解も必要になります。それは以下のような事になります。ウイルス性上気道炎などのウイルス性疾患には抗菌薬が必要のないことを理解してもらうとともに抗菌薬の必要な場合は、医師などからその必要性と適切な使用方法などについて十分な説明を受けるようにしていただきたいということです。不必要あるいは不適切な抗菌薬の服用によって薬剤耐性菌が蔓延すれば、感染症治療の難渋化やそれによる患者さんの死亡率の増加をもたらします。さらに将来それらの耐性菌により患者さん自身が治療に難渋する感染症を発症するリスクが高くなるということです。(国からの提言にも明記されています。)しかし、我が国では、急性上気道感染症の約60%に抗菌薬が処方されているという現状があります。細菌感染症の合併が否定できない、二次感染の予防、あるいは患者さんからの希望という理由などで。これらから抗菌薬の適正な服用を考えると、重要なのは感染の予防管理ではないかということです。これらがうまくいくと抗菌薬の耐性菌を含む微生物の伝播が抑制され、そして感染症の発症をへらすことができるということです。感染の予防・管理などをおこない、上記の事を理解していただいている人がそれでも感染に罹患した場合、抗菌薬の服用率は5〜7%のみですみ、その人達の満足度も高かったという場合があるのです。以上のようなことを再度記述しましたが、抗菌薬の服用に関しては、その必要性を確かめた上で行ってください。当院では必要である場合は、その旨を説明し、必要でないと判断した場合は処方する事はありません。

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