お知らせ

糖尿病で治療されている人へ(特に低血糖に対しての注意を)

糖尿病治療の目標は、慢性高血糖による合併症の予防、進展の阻止になります。しかし、血糖を低下させる事のみを意識しすぎると、低血糖の危険性が増加し、それにより死亡率の上昇があると報告されています。特にインスリンによる治療をおこなっている人は膵臓からのインスリン分泌が大きく阻害されている事が多く、このため治療により低血糖や高血糖に陥ることも多く致死的状況に至る可能性があります。糖尿病の人は高血糖の事を心配される人が多いと感じていますが、今回は低血糖も生命の危険を及ぼすとの観点から説明します。低血糖は血液中のグルコース濃度の低下を指し、病態的には体にとっての必須エネルギー源であるグルコースの、中枢神経をはじめ種々の臓器への供給が不足した状態であり、そのため各種臓器の機能障害を惹起します。特に中枢神経では通常グルコースのみをエネルギー基質として利用しているため、低血糖の放置は意識障害など色々な症状を起こし、生命の危機につながるおそれがあります。低血糖の明確な基準は設定されていませんが、多くの場合60〜70mg/dL以下が低血糖とされています。そして血糖が80mg/dl以下になると体の中からのインスリン分泌が抑制され、70mg/dl以下になるとストレスホルモンとしてグルカゴンやアドレナリンのホルモンが分泌され、60mg/dl以下では成長ホルモンやユルチゾールの分泌が亢進し、それぞれ血糖の上昇に働きます。低血糖の自覚症状としては震えや盗汗などの自律神経症状やふらつきや意識障害といった中枢神経症状などがあります。健常な人では、低血糖に対して様々な応答により、速やかに低血糖状態より回復します。しかし糖尿病の人ではこれらの低血糖に対する応答が阻害されている事が多く、低血糖の遅延などが大きな問題となるのです。また低血糖をくりかえされる人では低血糖症状の出現を認めなくなるいわゆる無自覚低血糖という重大な問題も呈してきます。したがって低血糖が疑われる症状などが出現した場合、グルコースの内服が第一選択となります。1回あたりグルコース5〜10gの内服を多く行います。(一時的には体重50kgの人ではグルコース5gの服用で血糖値は50mg/dl上昇するとされている)グルコースがない場合、ジュースやあめ、ラムネ菓子などの摂取もよいですが、ある種の薬を内服している糖尿病の人はグルコースが必要となります。意識消失などを伴う重症低血糖の場合、グルコースを歯肉に擦り付けたうえで家族の人が救急要請する事が必要となります。(しばしば重症低血糖をおこす人は、家族の人があらかじめある種のホルモン注射の筋肉内注射を指導してもらっておく事も大切となります)
脂肪は消化管の運動を抑制するため、脂肪分が多いチョコレートやビスケットを血糖回復後に食べることにより、長い時間にわたり緩徐にグルコースを供給することができ、血統の再度の低下に有用です。(一時グルコースの投与により血糖が上昇しても再度低下する可能性があるため)
低血糖の予防のためには、食事・運動前、月経時や肝臓の機能障害、腎臓の機能障害のある人は服薬(特にインスリン注射をしている人はインスリン量)の調整が必要です。(詳細は書きません、医師から説明・指導してもらって下さい)。次に手術や外傷、感染症の発症などのいわゆるシックデイといわれる状況の時はどうすればよいかという事になります。この場合は先に記述したストレスホルモンなどの分泌による高血糖(ひどい場合は説明はしませんが糖尿病ケトアシドーシス、高浸透圧高血糖症候群などの命にかかわる事態になる)などにも注意しなければなりません。したがって糖尿病の人は医師から説明されているとは思いますが、糖質を含む食事量が普段の量とくらべて半分以上であれば特にインスリン注射をうたれている人はそのままの量でうつ、摂取量が半分以下の場合はインスリン量は1/2、食事摂取がほぼできない場合は食事に対するインスリンの投与はなしとします。ほかの糖尿病薬の内服をされている場合、体の代謝の異常を助長する場合があるので、少なからぬ薬の服用は中止とし、医師の指示をあおいで下さい。食事療法としては一般的に1日に100g以上の炭水化物の摂取を目標とし、水分は野菜やスープやミネラル分を多く含むものを1日1000ml以上摂取する事がよいです。(発熱、消化器症状の強いとき、24時間以上経口摂取がほとんどできない場合、意識状態の変容がある場合は医師にすぐ連絡して下さい)
以上低血糖、シックデイ時などについて説明しました。参考にして下さい。

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