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高血圧の人の現状そしてその対策は?

高血圧は日本国民の死亡要因としては喫煙に次いで第2位の要因であり、脳心管疾患による死亡の原因としては最大です。近年高血圧に対する検討をおこなってみると過去約60年間において国民の収縮期血圧の平均値は男女とも大きく低下傾向にあります。(特に60歳以上の男女においては20mmHg以上の低下がみられる)一方拡張期血圧の平均値は女性を中心に低下傾向がみられるものの60歳未満の男性においては低下傾向はみられていません。
これらは、国民の高血圧の有病率が低下してきたのではなく、薬物治療などによる血圧の低下の影響が大きいと考えられています。従来高血圧の発症要因として@食塩の過剰摂取A過量の飲酒B肥満C身体活動量の不足D野菜・果物(カリウム)の摂取不足などがいわれています。上記の高血圧の有病に対する寄与要因を解析すると男性では有病の35%をAでまた15%をBで説明でき(合計50%が説明可能であった)女性ではAで3%がBで22%(合計で25%)が説明できると解析されています。わが国では依然より@による高血圧の発症が大きな部分を占めていると考えられています。しかしこれの高血圧の寄与度の解析は難しいことがあり、食塩摂取の低下が続いている事を考えると、高血圧発症の寄与は以前より低下していると考えられるものの、依然として重要である事には間違いありません。ここで考えておかないといけないのはAの肥満です。男性の肥満者率は約30年間で2倍になっており、肥満の高血圧発症に対する危険度はそうでない人にくらべ2010年度には約3倍となっています。したがって高血圧発症予防対策における肥満の重要性は増してきています。たとえば男性において高血圧の有病率が下がっていないこと、また拡張期血圧の低下がみられないことは肥満者の増加傾向が多きく影響している可能性が考えられています。以上上記であげたことなどをまとめると下記のようになります。
a高血圧の有病率は依然として高く、人口高齢により高血圧者数は今後も増加する。b30歳以上の男性・女性でも高齢者では高血圧予防が十分にできていない。c男性を中心として肥満に寄因する高血圧者が増加する。d高血圧の人達の治療とコントロールを改善することにより血圧良好な患者さんの増加は可能である。などとなります。
高血圧学会においてはT高血圧発症予防によって高血圧有病の人の割合を低下させる。U高血圧有病の人においては生活習慣(食事を含む)、薬物治療によりコントロール良好にする。
などの目標を作成しています。これら実行できれば2018年現在4300万人の高血圧有病者の人が2028年には2400万まで減少できると試算しています。(高血圧の動脈硬化予防という面では脂質の異常、糖尿病者の人などのコントロールを合わせて行わないといけないことは当然のことですが)、高血圧は長い目でみると危険でやっかいな病気です。発症に気をつけられるとともに高血圧の人は血圧を充分に意識して家での血圧もはかられると同様に服薬をしっかりとされ食事・運動などにも留意され血圧をコントロールされて下さい。

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