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血圧の変動は(最近の知見をふまえて)

血圧の変動は季節による変化(長期的な変動)だけでなく、一日内の変化、医療機関を受診時の変化(短期的な変動)により、それが強いと心血管病の発症のリスクを上昇させます。季節による変動を考えると、一般に冬期に上昇し、夏季に低下します。これは血圧が上昇する事が関係しており、おもに気温の変化が考えられます。気温が低下すると若い人では末梢の血管の抵抗が高まり、高齢の人では心臓の血液の拍出量が増大します。これが上昇の要因の一つとして考えられ、これにより特に高齢の人では血圧の変動が大きいとされています。またこれに関連して日中の収縮期血圧(上の血圧)は外気の温度と関連していたのに対し、夜間の収縮期血圧や早朝の血圧の上昇は日照時間などの季節性と関連していたとの報告があり、また気温と24時間の収縮期血圧との関連は65歳以上の人で顕著に認められたとの報告もあります。気温が1度下がるごとに死亡率が1%上がるとの報告もあるのです。脳卒中や心菅血疾患による死亡率は血圧の季節変動だけでなく、医療機関の受診間の変動が関与することもわかっています。
したがって高齢者では、不安定な気温環境下にある場合は、心血管疾患の発症予防に外来血圧を血圧管理の指標として、考えられることも重要です。
一日の血圧の変動については、夜間の血圧の下降度の減少は心血管疾患のリスクとされています。夜間の血圧の下降の減少は、睡眠時無呼吸、高食塩摂取(糖尿病、慢性腎臓病)などが、関係する事はわかっています。最近の報告によると夜間の尿回数が増加すると睡眠時の血圧の降下は減少し、尿回数に比例して覚醒時より、睡眠時血圧の上昇が認められたとの報告があります。また睡眠の質の低下(夜間覚醒などの睡眠の分析)が夜間の血圧を高めるともされています。しかし上記の事は高齢になってくると多くの人に見られる現象であり、そのコントロールは難しい問題ともいえます。これに対処する方法として高齢になっても元気なうちは血圧を低めにコントロールするということではないでしょうか、現在多くの国でそのように血圧をコントロールする事がよいとの提唱がなされています。ご参考までに紹介しました。

 

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