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高血圧及びその分類は?(家族での血圧をふくめ)

近年の多くの研究では血圧が120/80mmHgを超えて高くなるほど、脳心血管病、慢性腎臓病などに羅患するリスク及び死亡リスクが高くなることがわかっています。血圧の指標のなかでは収縮期血圧(上の血圧)が脳心血管病のリスクをより強くし、その死亡の約50%が120/80mmHgを超える血圧に起因するものと推定されています。全死亡者では40〜80歳代のどの年齢でも血圧レベル上昇とともに増加し、約20%が120/80mmHgを超える血圧によって発生すると推定されています。血圧は140/90mmHg未満は正常域とされています。しかし120/80mmHg未満とくらべ、120〜129/80〜84mmHgは、130〜139/85〜89の順に脳心血管病の発症率が高いことが多くの研究で示されています。また120〜139/80〜89mmHgでは生涯のうちに高血圧へ移行する確率が高いことが明らかにされており、したがって120/80mmHg以上の血圧を正常血圧とはいい難い状況となっています。したがって高血圧学会では2019年度指標として、120〜139/80〜89mmHgの血圧を後述のように正常高値血圧、高値血圧と分類しました。また高齢者では大動脈の伸張性が低下(硬くなる)するために、収縮期血圧は上昇し、拡張期血圧(下の血圧)は低下してくるので収縮期高血圧の割合が大きくなります。高齢者では脳梗塞や心筋梗塞に対して収縮期血圧が強いリスクになることが報告されています。よって収縮期高血圧という分類もとりいれています。さらに最近では家庭血圧計がわが国において4000万台以上普及しており、その値の評価も重要となります。家庭血圧値は近年の研究で診察室血圧値に比べ5mmHg程度低いことが基準値として妥当であることが値で示されています。また家庭血圧は診察室血圧にくらべ高血圧治療中の脳心血管病発症及び死亡リスクとの関連が強いことが報告されており、家庭血圧を指標とした降圧治療は上記発症の低下にも有用であり、その使用による評価が強く推奨されています。
上記の高血圧に対するさわりをふまえ、2019年度、高血圧学会が新たに提示した血圧値の分類を示します。

分類 診察室血圧(mmHg) 家庭血圧(mmHg)
収縮期血圧
拡張期血圧
収縮期血圧
拡張期血圧
正常血圧
<120
かつ
<80
<115
かつ
<75
正常高血圧
120〜129
かつ
<80
<115〜124
かつ
<75
高血圧
130〜139
かつ/または
80〜89
125〜134
かつ/または
75〜84
T度 高血圧
140〜159
かつ/または
90〜99
135〜144
かつ/または
85〜89
U度 高血圧
160〜179
かつ/または
100〜109
145〜159
かつ/または
90〜99
V度 高血圧
180
かつ/または
110
160
かつ/または
100
(孤立性)収縮期高血圧
140
かつ
<90
135
かつ
<85

以前にくらべ家庭血圧での分類をこまかく提示しております。次回はこれらにもとづいて血圧値による管理系計画を示します。
参考にして下さい。

 

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