お知らせ
気管支喘息その治療
気管支喘息は我々もよく治療をする疾患です。最近では、多くの患者さんが、我々の推奨する治療を受け入れてくれますが、初期の治療に対する説明・あるいは患者さんの病気に対する理解度が十分でない場合、治療にこられた場合、治療に対する受容がなかなか得られない場合があります。初期治療に対する充分な説明の重要性を常々感じるとともに何年(年十年)も前の治療法とは違うのだということをふまえて説明します。
喘息の有病率は6〜10%とされ、喘息が原因でなくなられる人は現在年間1700と減少しています。この喘息の発作(増悪)に対する予防対策としては、まず非薬物療法として日常生活の改善が重要となります。
全ての喘息の患者さんが施行できることは、能動喫煙及び受動喫煙を減らすことであり非常に重要です。喘息発作で入院する患者さんは圧倒的に喫煙率が高い現状があるのです。原因がわかっている場合は極力それを避けることも大事です。たとえば飼育ペットが原因である喘息の人はその飼育をやめることで治ることが多くあります。ほこりやダニ、カビ等が原因の場合は、ぬいぐるみやじゅうたんの使用をやめ風通しを良くし、こまめに掃除をおこなうようにします。(掃除のやり方は省略します)
また喘息発作を生じた場合、高率にウイルス感染や細菌感染がおこっていることがわかっており、この場合症状が悪化したりするため、早期に十分な治療をおこない、安静や保温等な一般的な注意点をおこなうことが必要です。
同時に感染に対する対策として冬期ではインフルエンザワクチンの接種が挙げられます。肺炎球菌の感染は発作による入院と関連していますが、そのワクチン接種の発作に対する予防効果にはまだ一定の見解は得られていません。(個人的には発作予防にはよいと考えていますが。)
職場環境における刺激物質の曝露による職業性喘息の場合は、可能であれば職場変更が当然よいと考えられますが、変更が困難な場合は、職場環境の改善や作業中のマスク着用等によって発作が軽くなる可能性はあります。また生活において大切なことは、日常生活を規則正しくし、過労や睡眠不足にならないように心がけ、食べ過ぎすると発作が出やすくなるため、夕食を控えめにしたほうがよとされています。また器具を使用する自己管理も大切ですが、これは受診された場合に説明します。
上記のような日常生活の改善・管理をされたうえで発作が起こる場合、あるいはその可能性が回避できない場合にはQOLの向上や呼吸機能の経事的な低下の抑制、活動制限の解除、入院などの減少のために薬物療法をおこないます。この場合喘息を症状に応じて分類しますが、基本的にはどの症状においても吸入ステロイド薬が基本治療薬となるのが特徴です。下記に示します。
喘息 症状 |
軽症間欠型 ・症状が週1回未満 ・症状は軽度で短い 月に数回 |
軽症持続型 ・症状が週1回以上 しかし毎日ではない 週に数回 |
中等症持続型 ・症状毎日ある ・ほぼ毎日の発作治療薬 毎日の症状 |
重症持続型 ・症状が毎日ある ・しばしば増悪する しばしば増悪 |
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治療ステップ1 | 治療ステップ2 | 治療ステップ3 | 治療ステップ4 | ||
長 期 管 理 薬 |
基 本 治 療 |
吸入ステロイド薬 (低用量) |
吸入ステロイド薬 (低〜中用量) |
吸入ステロイド薬 (中〜高用量) |
吸入ステロイド薬 (高用量) |
上記が使用できない場合 他薬(省略)を使用 |
上記で不十分な場合他薬を1剤併用 | 上記に他薬を1剤あるいは複数併用 | 上記に他薬を複数併用 |
上記の治療をおこなうことにより、コントロール不良な重症喘息の人もおられますが、多くの人はコントロールが可能となっています。喘息の方、日常生活の改善を考慮したうえで、初期治療が大切です。留意し受診されて下さい。