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心不全症の現状は

心不全とは「なんらかの心臓の機能障害、すなわち、心臓に器質的あるいは機能的異常が生じて心臓のポンプとしての機能の代償機転が破綻した結果、呼吸困難、倦怠感、浮腫が出現し、それに伴い運動耐容能が低下する症候群」と定義されています。
上記で定義された心不全は多くの場合、高血圧、虚血性心臓病、弁膜症などの器質的心疾患の終末像であり、それを構成する多くの人は、入退院をくり返す高齢者です。年齢構成では平均年齢71歳であり、65歳以上が73%、75歳以上が46%を占めると報告されており、高齢化社会の到来により今後ますます高齢者の心不全が増加すると予想されており、大きな問題として考えられています。心不全の高齢者の特徴として、女性、低体重、虚血、弁膜症、高血圧の人が多いことがあげられています。心不全症を生じる心臓には詳細はむつかしくなり記載しませんが、機能的な面からふたつのパターンが論じられていますが、予後としての死因を比較すると心血管死、心不全症、非心血管死に発症の割合に差はありますが、ほぼ同等であり予後は良好ではありません。すなわち全体的にみると1年の死亡率は11%ですが、心不全の増悪による再入院は、退院後6ヶ月以内で17%、1年後には26%との報告があり、さらに80歳以上になると死亡、再入院率は有意に高率になるとされ極めて不良な予後が示されています。したがって予後を悪化させる再入院を減少させることが極めて重要な課題となります。心不全の増悪による再入院の誘因は、塩分・水分制限の不徹底が33%と最も多く過労、治療薬服用の不徹底、精神的または肉体的ストレスなどの予防可能な因子が多くを占め、感染症、不整脈、心筋の虚血、高血圧などの医学的要因よりも多いとされています。したがって心不全を併発している原疾患に対する治療、心不全そのものに対する治療と伴に上記に記載した生活習慣の改善が心不全増悪に対する予防の鍵となります。
また不幸にも心不全で入院した場合、退院後に十分なフォローアップをされることが重要です。それには退院後の医師・看護士・介護職などの多職種によるサポートや心臓のリハビリテーションなどが含まれます。また患者さんの自己の心不全に対する充分な認識も重要です。
これらを行うかつ認識を実行することにより、生活の質が改善し、不安・抑うつなども軽快することが示されています。最近では情報通信技術(ICT)の進歩が目覚ましく、基幹病院・主治医と患者さんを結ぶ遠隔医療も行なわれはじめており、外来・入院・在宅医療に続く第4の医療として大きな期待がよせられています。
しかしながら心不全に対する治療としての医療は確固としたものはないのが現状です。
したがって心不全を併発するリスクとなる病気を良好に治療される事が重要となるのです。概略を説明しましたが、心不全は癌にも匹敵する予後を示すともされています。充分に御留意下さい。

 

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