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深部静脈血栓症(知っていますよね!)

在宅診療(施設への診療を含め)をしていると、深部静脈血栓症(DVT)を患われている患者さんを多くみうけます。DVTは上肢や下肢の静脈(圧倒的に下肢の静脈に多い)に血栓が生じそれによる血流障害により、患肢の腫張、疼痛、晴赤色の色調変化などをきたし、重篤の場合その血栓が肺動脈を狭窄、閉塞する肺血栓塞栓症(PTE)という命にかかわる病態をおこす病気です。地震や台風などで避難所での発生がメディアで報道される事が多く、世間でも最近では広く知れ渡っていると思います。
DVTは上述したように下肢に生じることが大部分で、静脈の流れの解剖により左側の下肢静脈に血栓が生じることが多いとされています。
したがって上記の症状が特に左下肢に出現した場合には後述する指標と合わせて検討することが重要となります。ただし右下肢に血栓が生じることは当然あり(左側の1/2〜2/3の頻度)、両側性の出現も少ないとはいえあるので血栓は否定できません。DVTは個々の所見である程度疑うことはできますがWellsスコアという下記のスコアと一緒に検証すると診断確率があがります。

Wellsスコア(DVT用)

活動性の癌(6ヶ月以内の治療など)               1
完全マヒ、不全マヒあるいは最近のギブス装着による固定      1
臥床安静3日以上または12週以内の全身あるいは部分麻痺を伴う手術 1
下肢深部静脈分布に沿った圧痛                  1
下肢主体の腫脹                         1
腓腹部の左右差 > 3cm                      1
症状のある下肢の圧痕性浮腫                   1
表左静脈の枝(側副血行路)の発達                1
DVTの既応                           1
DVTと同じくらい可能性のある他の診断がある           -2
低確率    0
中確率    1〜2
高確率     3

そしてこの確率により血液検査により血栓形成を示すとされている、あるマーカーを測定し、このマーカーが陽性の時に画像検査(超音波検査、CT、MRI静脈造影など)で診断することになります。治療は画一的ではなくPTEの発症リスクを考慮に入れ加療の要否を検討します。
以上DVTの既略を説明しましたが、最近在宅だけではなく外来を受診される患者さんにもDVTの人をみうけます。長時間の安静はできるだけさけて、歩行など活動的生活を心がけて下さい。参考にまで。

 

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