お知らせ

適切なアルコール飲酒量そしてアルコール関連疾患

飲酒量と病気の発症のリスクの関係は疾患によって異なりますが、全死亡率でみると一定(適切)の飲酒量までは死亡率は低下し、それ以上になると増加するJカーブといわれる関係となっています。適切な飲酒量とは1日平均純アルコール消費量21gまでの飲酒者の死亡率が最も低くなっているとの報告などより健康日本21では1日当たりアルコール20gと定められています。その一方で生活習慣病のリスクのある飲酒量は男性で40g以上/日、女性20g以上/日(純アルコール換算)とされています。具体的にはWHOのAUDITによって使われているドリンク(純アルコール換算で10gの飲酒量に相当)という単位が最近よく使われます。これによると2ドリンクが純アルコール20gに相当します。アルコール飲料で換算すると次のようになります。ビール500ml(ロング缶、あるいは中瓶)(2ドリンク)、日本酒1合(180ml)(2.2ドリンク)、焼酎(25%)1/2合(1.8ドリンク)、チューハイ(7%)レギュラー缶(2ドリンク)、ワイン(12%)、クイングラス(120ml)2杯(2.4ドリンク)、ウイスキー(40%)ダブル水割り(原酒で60ml)(2ドリンク)梅酒(13%)1合(1.9ドリンク)などです。このアルコール量をこえる飲酒を続けているとアルコール関連疾患の発症リスクが高くなります。代表的な疾患はご存知のものも多くあると思いますが、下記などがあります。
脳:うつ、不安障害、認知症、アルコール依存症
心臓:高血圧、不整脈、心不全、心筋症
膵臓:糖尿病、膵炎、膵臓癌
肝臓:脂肪肝、肝炎、肝硬変、肝細胞癌
大腸:大腸癌
喉・食堂:口腔癌、喉頭癌、食道癌
その他:高脂血症、高尿酸血症、乳癌(女性)、末梢神経障害、胎児性アルコール症候群(妊婦の飲酒による)
ここでいう胎児性アルコール症候群とは聞きなれないと思いますが、妊娠中の飲酒により、胎児・乳児に出生時の低体重、顔面の奇形、成長の遅れなど様々な悪影響を与えることであり、妊娠を予定している場合には完全禁酒が望ましいという事です。また上記の肝臓、膵臓、癌などに関してはその症状はよくご存知と思いますので、循環器の疾患に関して少々説明を加えます。
日本人男性の高血圧の約35%、女性の高血圧の約3%が飲酒によると推測されています。そして摂取量と血圧の関係はほぼ直線的でアルコール10mlあたり収縮期血圧は約1mmHg上昇するとの報告や日本酒1合減量することによって3.6mmHg低下するなどの報告があります。しかし適切な飲酒量では血圧に対してあまり影響しないとの見解も多く、いわゆる上述のJカーブ現象であり、これは不整脈や心不全にもあてはまるとされています。一方冠動脈疾患では適切な飲酒量では好影響であり(予防的にはたらく)、飲酒量が多くても影響はないとされています。(詳細は説明しません)脳卒中に関しては、アルコール飲酒量と脳出血などの出血性脳卒中は少量からでも、その発症には直線的な関係があるとされています。脳梗塞などの虚血性脳卒中はJカーブを示すとされています。末梢動脈疾患は冠動脈疾患と同様なアルコールの効果を示すとされています。以上早歩で概略を説明しました。ようは適切な飲酒量を心がけて下さいということになります。

 

お知らせの一覧を見る