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心房細動の遺伝性そしてその予防は可能か?

心房細動は前回記述したように認知症の危険因子であり、高血圧、心不全や弁膜症などの種々の新血管疾患の終末期に合併する疾患と捉えられていました。ところが心房細動は一定の遺伝性を示すという報告が多くだされています。たとえば片親が心房細動である場合は1.85倍、両親が心房細動である場合は3.23倍心房細動に羅患しやすいとの報告(フラミンガム研究)、第1親等に心房細動を持つ人はそうでない人に比べて1.77倍心房細動の羅患頻度が高いとの報告(アイスランドでの研究報告)やデンマークでの双子を使った研究での心房細動の遺伝因子の関与は62%と算出などがあり、心房細動は遺伝性の高い疾患と認識されています。その中でも特に遺伝性が高い心房細動のグループは従来より「家族性心房細動」と呼称されています。心房細動の予後に影響する特に重要な因子は脳梗塞(心原性脳梗塞)の合併です。寝たきり(要介護5)の原因の第1位はその約35%をしめる脳卒中であり、脳卒中の約75%が脳梗塞です。そして脳梗塞の寝たきり原因の約80%が心原性脳塞栓との報告があるのです。上記より心房細動の寝たきりに寄与する割合は約20%と算出することもできます。したがって心房細動特に家族性心房細動においては、発症リスクを層別化し、それに対する予防が重要となります。発症リスク因子は遺伝因子を除いて下記のようにあげている研究があります。年齢、収縮期高血圧、肥満(BMI25kg/)、過剰飲酒、現在の喫煙、総コレステロール、HDLコレステロール、心房細動以外の不整脈、冠動脈疾患、年齢別の心雑音。
この場合、年齢、心雑音、不整脈などを除くと生活習慣の改善で発症リスクを軽減できその施行が望まれます。そしてそれを行うことにより最大で心房細動の発症リスクを10〜20%まで減少させることができると考えられるのです。これは非常に重要なことで、生活習慣を改善することで寝たきり(脳梗塞からの)になることを多くの割合で予防できることになります。心房細動は発症すると生活の質(QOL)の低下や種々の医療をうけざるをえないことに直面します。したがって心房細動の家族歴をお持ちの方、生活習慣の改善の望ましい方上記を留意されその予防を行うことをお勧めします。疑問があればいつでもおいで下さい。

 

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