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治療抵抗性高血圧とは、そしてその対策は?

治療抵抗性高血圧とは適切な作用の異なる3剤の降圧薬を服用しても血圧が目標値まで下がらないものと定義されています。しかし厳密な意味では十分な生活習慣を行なってもらうということがその前提になります。2〜3剤の降圧薬で降圧が不良だが上記の定義にあてはまらないもの(適切な降圧薬の組み合わせでない場合など)はコントロール不良高血圧とし、治療抵抗性高血圧と同様な対策をしていただくことが必要と考えられています。ここで上記にあげた適切な生活習慣や修正できる要因とは以下のようなことになります。食塩やアルコールなどの過剰摂取、肥満、服薬が規則正しくできていない、睡眠時無呼吸、血圧を上昇させうる薬物や食品の接種(抗炎症薬、甘草を含む漢方薬、経口避妊薬、抗うつ薬など)、二次性高血圧など。
これらを修正することによって十分な降圧が得られることがあるのです。5剤以上の降圧薬を服用しても血圧が目標値にならない高血圧は難治性高血圧と定義されます。治療抵抗性高血圧や難治性高血圧は臓器障害を有している人や脳心血管病の高リスクの人を多く含むためその対策は非常に重要となります。そのためにはその要因の特定が重要となりますが要因は単一でないことが多く、特定困難な場合は少なくありません。治療抵抗性高血圧の割合は数%〜16%との報告が種々ありますが、一般の診療所、血圧専門の診療所などの違いがあり明らかではありません。2019年度の高血圧ガイドラインにより降圧とする目標値が低く設定されたため、その割合大きくなることが考えられます。治療抵抗性高血圧のなかで頻度が多く認められるものに白夜高血圧(診療室で測定した血圧が高血圧であっても診察室外の血圧では高血圧でないもの)があります。この型の治療抵抗性高血圧は臓器の障害は軽度で予後は良好なため当然のことながら降圧薬の服用の強化は不要です。また、治療抵抗性高血圧において医師に原因がある場合も多いことが指摘されています。つまり降圧治療の強化が必要な人の場合において、医師がそれを行わない(まーこれぐらいの血圧ならよいかと勝手に思い込む)ことです。これをイナーシャとよび反省しなければいけないことです。そしてこれら以外の上記にあげた生活習慣などの修正を服薬と一緒に行っても降圧目標値にならない場合には、血圧を専門とする我々医師が患者さんの病態を考え、降圧薬の選択や服薬する量の調整、服薬の時間などを患者さんと相談しながら(毎日忘れる事なく服薬できるかなど)決めていきます。
これにより降圧目標値に下がることを多く経験します。要は我々医師の治療に対する真剣、積極的な姿勢、患者さんの高血圧治療に対する認知度をあげる努力、生活習慣の修正への励ましが大事と常日頃感じています。血圧がさがらなくお悩みの方いつでも当院においで下さい。
最後に現在治療抵抗性高血圧だけでなく、軽症高血圧への非薬物療法の高血圧治療手技として実用化にむけて進められている(すべての高血圧の人に効果があるわけではない)腎交感神経デナベーションについて少しふれます。これは2009年に治療抵抗性高血圧に対して用いられ、一定の評価が得られたのですが、ある研究により効果がないと報告され使用中止となりました。しかし現在種々の改良が加えられ、患者さんの選択も厳格な基準を設けて臨床試験が行われた結果、血圧が有意に低下したと報告され解決しないといけない問題は多くはあるものの臨床的に応用できるようになった場合には期待できる治療手技です。

 

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