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家族性複合型高脂血症を知っておきましょう

遺伝性が濃厚な原発性高脂血症には日本人においては200〜500人に一人の割合で存在するヘテロ接合型の家族性高コレステロール血症(FH)があることをご存知の人はおられると思います。FHヘテロ接合体は@高LDLコレステロール血症A早発性冠動脈疾患B腱・皮フ黄色腫を主要な微候とする遺伝性の疾患で、未治療の場合、男性で30〜50歳、女性で50〜70歳の間に狭心症、心筋梗塞などの冠動脈疾患を発症することが多いとされている治療の必要な疾患です。家族性複合型高脂血症(FCHL)はFH以外の原発性高脂血症でやはり心筋梗塞など冠動脈疾患の発症の頻度の高い疾患でFCHLを今回記述しているのはFHにくらべ、その頻度が一般人口の100人に一人と極めて高いからです。FCHLは遺伝的要因と生活習慣などで後天的要因が種々の程度に重なり、LDL、VLDL(中世脂肪が主)が上昇する複合型高脂血症を呈します。食事や年齢などの影響によりLDLだけが上昇したりVLDLだけが上昇する型へも変動します。
またFCHLの人はその第1度近親者に同様な型の高脂血症を呈する人が多いことも明らかになっています。
FCHLの発症の後天的な要因は過剰な栄養、肥満、身体活動不足などが主として考えられます。FCHLはFHほどLDLコレステロールの上昇は強くはなく、黄色腫などの身体症状はありませんが、上記のように心筋梗塞の頻度は多く、男性では35歳頃より、女性では55歳頃より認められ65歳以下の心筋梗塞などの患者さんの32%にFCHLを認めるとの報告があるのです。
したがってFCHLはFH同様に治療が重要で、まず食事療法、運動療法による生活習慣の改善や肥満の是正を行うことが基本となります。食事療法への反応は良好です。そして薬の服用をしていただく事が多いですが薬の効果もFHよりも大きいことが知られています。
そして予後を規定する冠動脈疾患などの動脈硬化性疾患の発症を防ぎ、良好な生活をしていただくことが目標となります。当院においては、高脂血症(脂質異常症)を治療するうえでFCHLは常に鑑別しており、そうであった場合、患者さんに説明と生活指導、薬の服用をしてもらい患者さんは良好な経過となっておられます。FCHLをご承知下さい。

 

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