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慢性安定狭心症とは。そしてその診断治療は?

狭心症(虚血性心疾患)とは心筋に虚血を生じる疾患の総称で、心筋に酸素の需要と供給の不均衡が生まれることで発生します。虚血を惹起する要因は単に冠動脈の動脈硬化性変化に器質的狭窄(閉塞)だけでなく、攣縮(強い収縮)・血栓塞栓の形成・貧血や低血圧などの全身の要因で多岐にわたります。狭心症はこれらの病態からだけではなく、症状の経過(安定狭心症、不安定狭症)や誘因(労作、攣宿による狭心症)などによる分類方法が提唱されています。今回は緊急な対処が必要となる急性冠症候群(後日紹介します)以外の慢性期の狭心症について診断や治療について説明します。
狭心症の診断には症状から行うことが最初となります。狭心症の痛みは指で指してチクチクとすると訴えられることは少なく、手掌全体を前胸部にあて、「押しつけられる」「息がつまる感じがする」「締めつけられる」などと訴えられることが多いです。また顎、頭部、肩、心窩部、背部へ痛みが放及することもあります。労作性狭心症の出現様式は労作、特に動き始めたときに出現し、安静にすることやニトログリセリンで軽快するのが特徴です。攣縮の関与する狭心症は安静時、明け方や寒さ刺激などで出現することが多く認められますが、運動で誘発・出現する場合もあることを知っておく必要はあります。症状をお聞きして我々循環器医が大切に行うことは身体診療です。重度な心筋虚血の人の場合、心臓や肺に異常な聴診上の所見を認めることはありますが、(この場合患者さんは呼吸困難などを痛みとともに訴えられることが多い)一般的には安定狭心症には特異的な身体所見は乏しいです。しかし私達が系統的な診察を怠ると、心筋症、弁膜症、貧血、大動脈の解離、肺血栓塞栓症などの見落としを伴うこともあるため、身体診察はきわめて大事で重要です。(常日頃感じていることです)上記などにより狭心症を疑った場合次に検査をしていただきます。心電図・胸部X線撮影・心エコー図検査・血液検査などです。しかし安定狭心症の人の場合、これらの検査では異常を認めないことが多く、その場合運動をおこなってもらい心電図をとる運動負荷心電図や、冠動脈CTの撮影などをしてもらいます。これらにより狭心症と診断した場合、冠動脈をカテーテルで広げるか薬物治療単独を行うか、あるいはその両者を行うかの選択をするようになります。
以前にも記載したましたがこの場合、慢性安定狭心症の治療の目標は生命予後の改善、心筋梗塞の発症の予防、狭心症状の改善(生活の質の改善)、動脈硬化の進展抑制などであることを忘れてはいけいないことです。したがってどの治療を行う場合においても上記の達成のために症状、検査にしろ目標値を定め患者さんと話し、相談し、そして現在の治療法の是非を再検討しながら治療を継続するということになり、少なくとも私はそのように治療しており、患者さんには一定の評価をいただいています。我々が行う薬物療法の詳細はここでは記しません。(患者さん御本人にはしかりと説明しますが)
上記に記した狭心症が疑われる症状が出現した場合、早急に当院においで下さい。対処いたします。

 

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