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痛風とは

痛風は尿酸一ナトリウム塩(MSU)結晶が関節内に持続的に沈着する疾患です。関節内に沈着したMSU結晶が原因となって急性炎症が生じると急性痛風関節炎となります。関節内や周辺、皮下にMSU結晶が沈着し、肉眼で観察されるようになると痛風結節と呼称されます。痛風の誘因は高尿酸血圧が長期に持続することです。血清尿清値が7mg/dl以上の場合高尿酸血症と診断します。高尿酸血症のピークは30代であり約30%の人がなっています、しかし痛風になられる人のピークは60代〜70代であり、これは高尿酸血症の程度と持続期間が関係するからなのです。ちなみに高尿酸血症の約20人に1人は痛風を発症すると考えられており、血清尿酸値9.0mg/dl以上では5年間に20〜60%の人に痛風発作が生じると報告されています。高尿酸血症の要因には遺伝的要因と環境要因の両方が関与していると考えられています。
遺伝的要因は説明しません。環境要因としては、食事中のプリン体・内臓類、果糖の過剰な摂取・飲酒・激しい運動や長時間の歩行・ストレス・肥満などによる尿酸の体内での生産過剰や排泄低下などが考えられています。(余談ですが、ワインは過剰では尿酸を上昇させますが、適量のワインは上昇させないとされています。乳製品、コーヒーは低下させます。)
そしてこれらの要因あるいは誘因により痛風発作が生じるわけですが、その特徴的な臨床像は以下のようです。@中年高年男性に好発A24時間以内に疼痛がピークに達する。約10日間で自然に疼痛発作が軽快する。この場合無治療であれば最初の3日間は疼痛の強さは変わらず、疼痛は徐々に減少するが、1週間で完全に消失することは少なく、発赤、圧痛、熱感も1週間ではほぼ半減する程度との報告もあります。B下肢特に母趾中趾節(MTP)関節が羅患しやすく、足根間関節、アキレス腱付着部、足関節も好発するC無治療なら次第に発作が頻発・慢性化し痛風結節を形成するとなります。また痛風発作中は原因は種々考えられ説明しませんが、血清尿酸値は必ずしも高値とはなっていない事もあります。痛風発作の診断は上記に記述してきた血液診断と臨床症状による事が多いですが、多関節に発作をおこし、診断に苦慮する場合は、関節を可能であれば穿刺し、関節液中にMSUの針状結晶を見出し確定診断とすることもあります。その他に近年、画像診断肢術が進歩し、非侵擬的に関節エコー検査やDECT(dual energy CT)で診断する事も可能となっています。これらは症状のない高尿酸血症(無症候性高尿酸血症)の病気におけるMSU結晶の存在や、自覚症状を伴わない炎症所見(画像的痛風関節炎)が観察できるとされています。
痛風発作の治療は原則薬物治療となります。3種類の薬剤の中から選択服用してもらいますが、疼痛が激しい場合2種類を併用服用してもらうこともあります。
そして痛風発作はMSU結晶によって引き起こされる急性関節炎なので、痛風がおさまってからもMSU結晶を体内から消失させるため、長期間薬物の服用が推奨されています。
(尿酸の体液中での溶解限界とされる6.4mg/dlより低い6.0mg/dl以下に血清尿酸値を長期間維持するため)ある報告によると約5年間6.0mg/dl未満を維持されていた痛風患者さんが尿酸降下薬を中止した場合、3年以内に尿酸値の上昇により、40%の患者さんが痛風関節炎を再発したとのことです。以上痛風及びその誘因などについて説明しました。
要するに日頃から生活習慣に気をつけられ、症状がでた場合は早急に我々医師を受診して下さい。診断、説明し加療致します。

 

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