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仮面高血圧とは

高血圧の診断は診察室血圧と診察室外血圧により、非高血圧、自衣高血圧、仮面高血圧、持続性高血圧に分類されます。非高血圧は診察室血圧が140/90未満、診察室外血圧は家庭血圧で135/85未満(24時間平均血圧130/80未満、夜間血圧120/70未満)とされ、白衣高血圧はいままで時々説明してきましたが、診察室血圧が高血圧であっても診察室外血圧は非高血圧を示す状態です。仮面高血圧とは診察室血圧が非高血圧であっても、診察室外血圧が高血圧を示す状態です。通常欧米では仮面高血圧という単語は降圧薬未服用者に対して用いられており、降圧薬を服用されている場合、コントロール不良仮面高血圧とよばれています。本邦で降圧薬服用の有無によらず用いられています。仮面高血圧は診察室外血圧が上昇している時間帯により早朝高血圧、昼間高血圧、夜間高血圧の状態を示します。仮面高血圧は非高血圧を示す一般住民の人の10〜15%、降圧薬を服用しコントロール良好な高血圧の人の9〜23%にみられると報告されています。なぜ仮面高血圧を取りあげて説明するかというと、この病態の人は非高血圧や白衣高血圧の人と比較すると、臓器障害や脳心菅病発症のリスクが有意に高いからです。また代謝の異常を伴いやすく、未治療か治療中にかかわらず高血圧性臓器障害が進行していると報告されています。脳心菅病の発症リスクは持続性高血圧の人と同程度とされています。したがって以下に示す仮面高血圧のリスクの高い人は慎重な対応が必要となります。
仮面高血圧のリスクの高い人
1.降圧薬を服用しているすべての高血圧の人
2.高値血圧(診察室血圧130〜139/80〜89)の人
3.喫煙者
4.アルコールの多飲者
5.精神的ストレス(職場、家庭)が多い人
6.身体的な活動度の高い人
7.心拍数の多い人
8.起立性の血圧変動の異常な人(起立性低血圧、起立性高血圧)
9.肥満、メタボや糖尿病の人
10.臓器障害(特に心臓の肥大)や心血管疾患をお持ちの人
上記の人は、診察室血圧にかかわらず、家庭血圧や時に24時間血圧測定が必要と考えられます。そして治療中の仮面高血圧の人は治療を強化するだけでなく、高血圧の二次的な要因がないかなどの検査が必要となることがあります。生活習慣の見直しを検討する必要も考えられます。当院では高血圧の患者さんのほとんどに、家庭での血圧を測定していただいており、リスクも勘案して仮面高血圧の診断そして個々人に対する適切な加療を行い、診察室、診察室外血圧を、ほぼ良好にコントロールさせていただいていると自負しています。血圧でお困りな方、仮面高血圧と思われる方、いつでも受診して下さい。加療いたします。

 

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