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動脈硬化症の色々なリスク

当院には専門診療科から高血圧、脂質異常症、糖尿病などの動脈硬化性疾患のリスクをお持ちの人が多く来られます。それらの人には動脈硬化症(動脈硬化性疾患)のリスクとなる病態などについては常にお話していますが、今回は今一度説明します。
動脈硬化症のリスクとなるものには、加齢、男性、家族歴など医療では介入できない因子以外に上述の高血圧、脂質異常症、糖尿病や喫煙、慢性腎臓病(CKD)、冠動脈疾患の既応、脳梗塞の既応(心臓が原因となるものは除く)。末消動脈疾患(PAD)、腹部大動脈瘤(AAA)、高尿酸血症、睡眠時無呼吸症候群(SAS)、メタボリックシンドロームがあります。
こられについて簡潔に記します。加齢は冠動脈疾患や脳血管障害などの動脈硬化性疾患の最も強いリスクとされており、男性は女性よりその発症のリスクは高いことは明らかではありますが、加齢とともに発症の性差は縮小します。(特に心筋梗塞では)冠動脈疾患の家族歴、特に第T度近親者の家族歴また早発性(男性55歳未満、女性65歳未満)冠動脈疾患の家族歴は冠動脈疾患発症の強いリスクとなります。高血圧は全心管病、脳卒中発症のリスクとなることはよくご存知だと思います。脂質異常症はLDLコレステロールの上昇は明らかに、そして空腹時、非空腹時にかかわらず中性脂肪の上昇も冠動脈疾患や脳梗塞の発症や死亡のリスクとなります。
糖尿病は発症前の境界領域(耐糖能異常)の時期からリスクは高くなり、糖尿病になると冠動脈疾患の発症リスクは糖尿病でない人の2倍以上、脳梗塞の発症リスクも2倍以上になります。また女性での発症率が高く性差は少ないとされています。喫煙は1日の喫煙本数にかかわらず動脈硬化性疾患の発症リスクは高く、受動喫煙においても同様にリスクが高いことが示されています。
また喫煙は動脈硬化性疾患のリスクであるPADやAAAのリスクであることも明らかとなっています。
CKDは末期腎不全のみならず動脈硬化性疾患の高リスク病態であり、(CKDの進行による)人工透析などからの死亡よりも心血管疾患による死亡の方がはるかに多いとされています。
冠動脈疾患の既応のある人はない人にくらべ再発リスクは2倍以上との報告があり、高リスクとなります。また既応のある人は冠動脈疾患の再発よりも脳血管障害の発症リスクが高いとの報告もあります。脳梗塞の既応は脳梗塞再発のリスクとなるだけでなく、冠動脈疾患の高リスク病態であることが知られています。PADは動脈硬化性疾患を発症しやすく、冠動脈疾患は2倍以上脳梗塞は3倍以上の発症リスクがある(PADのない人と比べて)との報告があり、リスクが高いことは明らかです。AAAは動脈硬化症性疾患のリスクであるとの明らかな結論は得られていませんが、動脈硬化性疾患を高率に合併することより、AAAのある人は動脈硬化性疾患の精査をすることが推奨されています。高尿酸血圧が動脈硬化症疾患の独立したリスクとなるかについては相反した報告があります。冠動脈疾患や脳卒中のリスクとなるとの報告は多く、尿酸降下薬の投下により、脳卒中発症、冠動脈疾患発症の抑制硬化を認めており、高尿酸血圧はリスクと捉えられています。
睡眠時無呼吸症候群のうち、一般的に多くみられる閉塞性睡眠時無呼吸症候群は高血圧の新規発症、2型糖尿病の発症リスクなどにもなり、直接あるいは間接的に動脈硬化性患発症・進展のリスクとなります。さらに致死性および非致死性心血管疾患の発症を有意に増加させます。メタボは上述のリスク因子の複合した病態であり、動脈硬化性疾患の発症リスクの高い病態であることは明らかです。
以上動脈硬化症性疾患のリスク因子について記述しましたが、それらをお持ちの人は、まずは生活習慣の見直し、改善を行われ(今回はそれは説明しません)それでも良好な経過が得られなければ、いつでも当院においで下さい。相談にのり加療いたします。

 

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