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慢性腎臓病(CKD)の重症度評価は

慢性腎臓病(CKD)は以前にも記しましたが、腎障害や腎機能の低下が持続する疾患です。CKDは進行すると末期腎不全(ESKD)に至り、透析療法や腎移植が必要となります。またCKDの重要なところは上記だけでなく、心筋梗塞や脳卒中、心不全などの心血管疾患(CVD)や心血管死などのリスクとなることが多くの研究から確認されていることです。そのためCKDを早期に診断し、適切な加療を行うことで、CKDの重症化を防ぎ、CVDの発症を抑制することが重要となります。CKDは自覚症状を伴うことは少ないですが、血液検査(推算糸球体濾過量)(eGFR)、尿検査(尿蛋白量・尿アルブミン量)で診断することが可能であり、そしてそれに基づいてCKDの重症度を評価することになります。一般に尿中にはごく微量なアルブミンや蛋白しか認められません。それをこえるアルブミンや蛋白が尿中にみられることは腎障害を意味します。たとえば健康診断の尿検査で尿試験紙法で尿蛋白1+以上の場合、大部分が尿アルブミンが陽性であることが明らかでありESKDや心血管死のリスクが高いと考えられています。またeGFRが低値であれば腎機能の低下を意味し、eGFRが低値であればあるほど総死亡やESKDのリスクが上昇します。つまりCKDと診断した場合、上記の両者は単独でも重症度の評価は可能ですが、両者を組み合わせる事でより厳密なCKDの重症度の評価が可能となります。
例えば尿アルブミン・尿蛋白量が少なくeGFRが高値であれば、リスクは低くなり、逆に尿アルブミン・尿蛋白量が多く、eGFRが低値であればESKDやCVD、心血管死のリスクが高くなることは容易に理解されると思います。したがって職場や住民健診などの検尿の異常を指摘された場合には(尿蛋白1+以上)(CKDの早期発見、CVDの発症予防のためにも) 我々医療機関を受診されることを強くお勧めします。

 

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