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非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)とは

近年、我が国においては、食習慣の変化や運動量の減少による肥満人口の増加に伴い、内臓肥満やインスリン抵抗性(糖尿病をはじめとする糖の代謝異常につながる)を基盤として発症し、メタボリックシンドロームを高率に合併する非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)が増加しています。NAFLDは、非進行性の病態である非アルコール性脂肪肝(NAFL)と、肝組織の線維化を伴い肝硬変・肝細胞癌に進行しうる非アルコール性脂肪肝炎(NASH)からなります。NAFLDの有病率は、我が国においては約30%(成人の場合)、NASHはその10〜20%と推定されています、問題となるのは肝硬変、肝細胞癌の合併でありNAFLD全体では10数年の経過で前者が5〜8%出現し、NASHからは10年前後で前者が10〜20%し、また前者に至った場合には後者が年率約2%の割合で出現することなのです。非アルコール性と診断する場合は1回飲酒量がアルコール換算で20g以下とされています。ウイルス性肝炎を背景としない肝細胞癌ではNAFLD/NASHからの発癌が主因と考えられ大きな問題です。肝細胞癌の合併のリスクとなるNAFLD/NASHにおける肝臓の線維化は、体重の増加、糖尿病の合併またはインスリン抵抗性などがあげられており、糖尿病のコントロール状態が生命予後と関与するとの報告があります。
上記のことよりNAFLD/NASH由来の肝細胞癌にはNASH特にNASH肝硬変にならないことです。NASHは肥満者の割合が多く、欧米ではNASHの約90%が体格指数(BMI)30以上と報告されており、減量により多数の人で肝機能障害が改善し、特にNAFLDでは約60%の人で脂肪肝が改善したと報告されています。糖尿病の人は高度なNASHにおける有病率が約44%であることから上述の如くコントロールが重要となります。したがってNASHの人は高度な肥満のある場合はまずは食事・運動両方による減量(できれば体重の7%以上)の達成を目標とし。そしてその体重を維持・継続することです。
達成できないあるいは肥満のない人の場合、NASHの背景にある原疾患(糖尿病・脂質異常症・高血圧症など)に準じた薬物療法を行うことが推奨されています。これらはNAFLD/NASHのことを理解している内科系の医療機関では投与が行なわれるはずです。しかしながら不幸にもNASH肝硬変になられた場合には、医療期間において定期的な血液検査や画像診断をされることが必要です。生命予後の為NASH肝細胞癌は増加しています。NAFLDにご留意下さい。

 

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