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早朝・夜間・昼間高血圧によるリスクは、そして脈拍は?

早朝高血圧(診察室血圧が140/90未満で早朝に測定した家庭血圧が135/85以上)には、夜間高血圧から移行するタイプと朝方に急峻に血圧が上昇するタイプ(モーニングサージ)があります。 早朝高血圧に影響する因子には、アルコール・喫煙、寒冷、血管硬度の増大、起立性高血圧、持続時間不十分な降圧薬などがあります。早朝高血圧の持続は脳心血管病のリスクと有意に関連し、診察室血圧で定義した高血圧よりも臓器障害が進行しており、将来の脳卒中や要介護リスクが高くなると報告されています。夜間血圧は最近では家庭血圧計で測定できるようになりましたが、それによる夜間血圧、あるいは24時間自由行動下血圧計での夜間血圧の平均が120/70以上の場合は夜間高血圧と定義されています。夜間高血圧に影響する因子には心不全、腎不全、自律神経障害、睡眠時無呼吸症候群、抑うつ状態、認知機能低下、脳血管障害などがあります。夜間血圧は一般に昼間血圧よりも変動幅が少なく、その増加はより強く脳心管病リスクの増加、認知・身体機能の低下と関連しています。ただし夜間高血圧が起床後まで持続している場合があり、その場合前述の早朝高血圧として検出され、前述のようにリスクとなります。また早朝・就寝時の家庭血圧が正常域レベルにあり、夜間高血圧のみの場合でも血管障害は進行しており、脳心血管病のリスクは高いとされています。診察室血圧や家庭血圧が正常域でも、昼間の時間帯の血圧(職場での血圧値を含む)が、持続して135/85以上の場合には、昼間高血圧と定義します。精神的、身体的ストレスは血圧に影響を与えることは知られており、さらにストレス状況にある職場で測定した血圧が高値を示す職場高血圧は肥満や高血圧家族歴のある人に多いことも報告されています。
脈拍数はその平均は女性74/分、男性70/分との集計があります。速い脈拍数は脳心血管病や全死亡のリスクと関連するとの報告が多数あります。たとえば朝の血圧測定時の脈拍数が70/分を越えると脳心血管病死亡が増加するとの報告、夜間の脈拍数が脳心血管病や全死亡を有意に予測するとの報告などです。一方服薬による脈拍数の減少は、脳心血管病の予後を改善させるとの報告もあります。したがって最適な脈拍数の設定は一致をみていませんが、高血圧の人は脈拍もルーチンに測定すべきとされています。
以上表題に関することを概説しました。これからもわかるように血圧・脈拍のコントロールには細心の注意を要します。コントロールにお困りの人はいつでも当院を受診して下さい。

 

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