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低栄養のGLIM基準とは

フレイルの主な原因はサルコペニア、低栄養、ポリファーマシー(多剤服用)などであり、そのため低栄養を予防することはフレイルの予防につながります。2018年に北米、南米、アジアの学会によって低栄養の診断基準であるGLIM基準が発表されました。GLIM基準では低栄養スクリーニングツールで低栄養のリスクがありと判定された場合、現症(表現型)および病因で評価診断されそして重症度判定がおこなわれます。これらはどのようなものを示すのか説明していきます。
・低栄養スクリーニングツールは下記のようなものがあるかを調べます。
 病因:食事摂取量の減少、疾患/炎症。症状:食欲不振、筋力低下。微候/表現型:体重減少、BMI(体格指数)、除脂肪量/筋肉量、脂肪量、体液貯留/腹水、筋機能
・現症(表現型)・病因は下記となります。
 現症:@体重減少(過去6か月間で5%以上の体重減少、もしくは過去6か月間以上の期間で10%以上の体重減少)A低BMI(体格指数)(アジア人の場合、BMI18.5未満、70歳以上の場合はBMI20未満)B筋肉量減少(体組成計で評価しますが、それがない場合、下腿周囲長男性では34cm未満、女性33cm未満、入院中の高齢者では男性30cm未満、女性29cm未満で評価してもよいとされています。)
 病因:@食事摂取量か同化の減少(エネルギー必要量の50%以下の摂取量が1週間以上持続、何らかのエネルギー摂取量減少が2週間以上持続、吸収不良や同化の減少となる慢性的な消化管の状況)A炎症(慢性炎症・外傷もしくは慢性炎症)急性炎症・外傷は急性感染症、手術、外傷、骨折、熱傷などで生じます。慢性炎症は癌、慢性心不全、慢性腎不全、慢性呼吸不全、慢性肝不全といった慢性臓器不全や慢性感染症や関節リウマチなどの自己免疫疾患などで生じます。
そして上記現症3項目、病因2項目のうち1項目以上該当した場合に低栄養と診断します。
重症度の判定は体重減少、低BMI、筋肉量減少で行います。
@中等度低栄養
 ・過去6か月以内に5%〜10%の体重減少または過去6か月以上で10〜20%の体重減少
 ・BMI<20(70歳未満)BMI<22(70歳以上)
 ・軽度〜中等度の筋肉量減少(具体的な数値設定なし)
A重度の低栄養
 ・過去6か月以内に10%より多い体重減少または過去6か月以上で20%より多い体重減少
 ・BMI<18.5(70歳未満)BMI<20(70歳以上)
 ・重度の筋肉量減少(具体的な数値設定なし)
上記で判定した低栄養あるいは低栄養リスクありであった人の90%はフレイルであったことが示されており、またフレイルの原因となるサルコペニア、ロコモティブシンドロールにおいても食生活の影響は及びます。したがって低栄養はこのリスクに陥る前からの予防が肝心とされています。
つまり低栄養の予防には、GLIM基準の現症と病因の項目に該当しないようにされることが有用となります。具体的には総括的に記すと体重減少の予防、70歳以上であればBMIを20kg/m2以上に維持、筋肉量の維持、炎症・疾患の予防を行うということになります。
新しくできた概念であり、すこし理解するのに時間がかかるかと思われますが、知られておく必要はあると思います。低栄養のGLIM基準を説明しました。

 

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