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二次性高血圧とは

高血圧には家族歴が濃厚で生活習慣などもその発症に関与してくるが単一な原因は同定できない本態性高血圧と特定の原因により発症する二次性高血圧があります。2017年のわが国の高血圧者の推計数は約4300万であり、二次性高血圧者数はその10%以上にのぼるとされています。

二次性高血圧は、原因を同定して治療することにより効果的に血圧を降下させることができるため、その適切な診断は重要です。二次性高血圧は、通常の治療で目標血圧に達成することが難しい治療抵抗性高血圧を呈することが多いため、本態性高血圧との発症の経過の違いを知りそれを疑うことは大切です。二次性高血圧を一般的に示唆する所見を下記に記載します。

  • 若年発症の高血圧(本態性高血圧は血圧は20〜30歳代からやや高めで、加齢に伴って高くなることが多い)
  • 中年以降発症の高血圧(50歳を過ぎて急に発症するなど)
  • 重症高血圧、治療抵抗性高血圧、それまで良好だった血圧の管理が難しくなった場合
  • 急速に発症した高血圧(数週間で血圧が急激に上昇するような場合は必ず重大な原因があると考え、検査が必要)
  • 血圧値に比較して臓器障害が強い場合(夜間高血圧など血圧日内リズムの異常を伴うことが多い)
  • 血圧変動が大きい場合(個々の日毎(日間)や一日を通しての(日内)血圧の変動が大きい)

二次性高血圧の原因となる疾患は多岐にわたりますが、その中で頻度の高いものとして知られているのが原発性アルドステロン症です。これは副腎という内分泌器害からホルモンが過剰に分泌されるために高血圧を発症してくるもので、高血圧症の5〜15%を示すとされています。血圧に依存しない臓器障害作用が知られており、低カリウム血症や夜間多尿が特徴的な所見とされています。(50%未満でみられる)

診断・治療法は省略しますが、代表的な二次性高血圧というのを知られておく事はは大切です。

また、薬剤による二次性高血圧にも注意が必要です。グリチルリチン酸(肝庇護剤)としてしばしば使用されるものや非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDS)に血圧をあげる作用があることはよく知られています。

甘草は漢方薬によく配合されていますが、健胃散などの胃薬にも含まれています。通常は問題となることは少ないですが感受性の高い人や高齢者では高血圧や低カリウム血症の原因になりうります。抗うつ薬やパーキンソン病治療薬は血圧を上げるだけでなく、起立性低血圧症などもおこし血圧の変動を大きくすることがあります。薬剤ではないですが、健康食品にも注意が必要です。中国茶(肥満に対する民間療法として使用された)による腎障害はアリストロキア酸腎症として知られています。

その他二次性高血圧をきたす疾患は多くありますが、詳細はここでは記載しません。

要は上記に記載した示唆する(二次性高血圧)所見と同様な所見があると感じた高血圧の人は、当院などに受診され適切な検査をされることが重要です。もちろん当院においては高血圧の人は常に二次性高血圧も念頭にいれて診療しています。

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