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高血圧と認知症

高血圧は脳卒中後などに生じる血管性認知症のリスクとなります。またアルツハイマー病も脳血管障害や微少脳血管病の合併が多く認められ高血圧との関連は報告されています。特に年齢の影響は大きく若年期の高血圧は中年期の認知機能低下と中年期の高血圧は高齢期の認知機能低下のリスクになることは広く知られています。一方高齢期(65歳以上)の高血圧は認知症のリスクとした確固としたものは報告されていません。これには高齢期では高血圧だけでなく低血圧及び脳の萎縮が認知機能低下と関連したとの報告が少なからず見受けられます。また血圧の変動の異常たとえば起立性低血圧や血圧の日差変動の増加が認知機能低下や発症と関連しているとの報告もあります。では降圧薬の服用と認知機能との関連はどうなのかをみてみると、高齢期高血圧の人の降圧薬服用による認知機能低下あるいは認知症発症抑制に対する報告は相反する報告があります。

たとえばある種類の降圧薬の服用により認知症が抑制されたとの報告、脳卒中などの既応のない高血圧患者さんでは降圧薬服用によるり認知機能は改善されるが、脳卒中患者さんを含む治療では認知機能障害への効果はなかったとの報告などです。したがって高齢高血圧患者さんに対する降圧薬服用による治療は認知機能に関して一部有益性を示す成績は存在しますが、認知機能保持効果を有することを示す確固としたものはないのが現状です。しかし降圧薬服用が高齢高血圧患者さんの認知症発症や認知機能に悪影響を示した報告はなく、脳心血管障害や他の合併症予防のためにも降圧薬服用による治療はされるべきとされています。ただこの場合、降圧薬により低下しすぎた血圧が認知機能に悪影響を与える可能性は否定できないため、降圧に関しては我々医師が慎重に加療してあげる必要があります。

以上高血圧と認知症に関して概略を説明しました。

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