お知らせ
一次性頭痛(緊張型頭痛・片頭痛)
頭痛には、頭痛の原因となる何らかの疾患があって発生する二次性頭痛(頭頸部外傷あるいは血管障害による頭痛など)と、そのような疾患のない一次性頭痛、頭部神経痛などのその他の頭痛があります。今回は日常みなさんがよく経験される一次性頭痛で頻度の多い緊張型頭痛などを中心に説明します。緊張型頭痛はわが国においては、1年の有病率が約22%と報告され、一次性頭痛のなかで最も多い頭痛です。その誘因としては確立されたものはありませんが、肥満、運動不足、喫煙さらにストレス、精神的緊張、睡眠、疲れなどが報告されています。緊張型頭痛の症状をあげると以下のようになります。@頭痛は30分〜7日間継続するA次にあげる特徴の少なくとも2項目を満たす。(a)両側性(b)症状は圧迫感または締めつけ感(非拍動性)(c)強さは軽度〜中等度(d)階段の昇降や歩行のような日常的な動作により増悪しないB次の両方を満たす(a)悪心や嘔吐はない(食欲不振は伴うことはある)(b)光過敏や音過敏はあってもどちらか一方のみC他の病気にはよらない。緊張型頭痛の有病率は加齢とともに低下しますが、50歳以降に初発する例もあり、高齢者においてもその有病率は高く維持されています。治療としては1ヶ月に2週間以上頭痛が出現したり、日常動作の支障度の高い頭痛に対しては薬物療法、非薬物療法(理学療法、鍼灸になど)がありますが、薬物療法においては頭痛を抑える薬を長期に服用することにより生じる薬物使用過多による頭痛になることを避けるために、1週間に2〜3回以上の薬の服用を行わないことが肝要とされています。
次にあげる一次性頭痛例はみなさんがよく耳にされることがある片頭痛です。わが国の片頭痛の年間の有病率は8.4%とされており、20〜40歳代の女性で高くなります。片頭痛の人は加齢に伴い、多くの人は改善傾向を呈し、これは男女とも同様に認められ、一部頭痛が完全に寛解する(約3%)人もおられます。(少ないながら一部の人では症状が進行し、慢性片頭痛となることもある)片頭痛には以下のような種々の誘因があります。ストレス、精神的緊張、疲れ、睡眠(過不足)、月経周期、天候の変化、温度差、頻回の旅行、臭い、空腹、アルコールなどです。片頭痛には目に見えたり(きらきらした点・線・光)感覚として感じたり(チクチク感など)する前兆という症状のある片頭痛とそれらを認めない片頭痛があり共通する症状としては次のようなことです。@頭痛の持続時間は4〜72時間(未治療あるいは治療が無効果な場合)A頭痛は次のような特徴の少なくとも2つを満たす(a)片側性(b)拍動性(c)中等度〜重度の頭痛(d)日常的な動作(歩行や階段の昇降)により頭痛が増悪する。あるいは頭痛のために日常的動作を避けるB頭痛は少なくとも次の1項目を満たす(a)悪心または嘔吐(あるいはその両方)(b)光過敏および音過敏(c)その他の病気によらない、そして@〜Bを満たす頭痛発作が5日以上ある片頭痛に対する治療は主として薬物療法になります。薬物服用上の注意は緊張型頭痛の場合と同様です。
一次性頭痛には、その他に強度だけどまれな群発頭痛、三叉神経・自律神経性頭痛などがありますが、今回は記載しません。
わが国には慢性頭痛を有する人は約4000万人と推定され、そのうち約840万人は片頭痛などの一時性頭痛の人であり、その約75%の人は頭痛による生活支障度が高いとされています。しかし一次性頭痛をおもちの人の約70%は医療機関を受診したことはなく、約50%は市販薬のみを服用しているという実態調査報告があります。一次性頭痛はしっかりと診断され治療されることにより頭痛の改善QOLの向上が得られます。自分自身での安易な判断・服薬はしないようにして下さい。