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無症候性脳出血・微少出血・大脳白質病変

以前にウェブで記した、かくれ脳梗塞(無症候性脳梗塞)については、みなさんはよく知られている事が多いと思います。今回は上記と同様に、脳梗塞や脳出血のリスクとなる無症候性脳出血、微少出血、大脳白質病変などについて説明します。無症候性脳出血の原因は高血圧性脳出血が最も頻度が高く、多くは脳内の被殻という部位に出血を認めます。症状のある脳出血(候候性脳出血)例でみると、無症候性脳出血が30%前後に併存しているという報告があり、高血圧性脳出血による無症候性脳出血の人の約半数に脳梗塞が合併しているという報告もあります。したがって無症候性脳出血より症候性脳出血発症予防のためには、その最大のリスクとされている血圧を積極的にコントロールすることが大切となります。

微少脳出血は高齢、高血圧、糖尿病、脳卒中の既応があること、大脳白質病変の程度が進行していることなどによって、その出現頻度は高まります。微少脳出血の存在は将来の脳梗塞、脳出血発症のリスクを高めます。また、抗血小板薬や抗凝固薬(血液をサラサラにする薬)を内服していると微少脳出血の頻度が高まり、さらにそれを伴うことで脳出血のリスクが高まるとの報告があります。(これに関しては議論はあります。)微少脳出血を有している人の血圧、糖尿病をコントロールすることで将来の脳卒中予防効果があるかはいまだ不明な点はありますが、コントロールにより逆の効果(脳卒中の増加等で)の報告はなく、これら(特に血圧)を積極的に管理する必要はあります。大脳白質病変は大脳の脳塞周囲や、深部の皮質という部位に主に生じる虚血性格の変化であり、その存在の最大のリスクは高血圧です。大脳白質病変は経過とともに進行する場合が多く、改善することは通常ありません。大脳白質病変と無症候性脳出血の存在は最大な脳卒中発症のリスクとされています。また大脳白質病変は大うつ病、認知障害、感情障害、軽度認知障害(MCI)などとの関連も示されています。身体機能との関連では白質病変が大きいと歩行速度が遅くなり、その低下速度は白質病変と関連していたとの報告があります。大脳白質病変存在の最大のリスクは高血圧と上記しましたが、それ以外にも糖尿病、慢性腎臓病、メタボ、喫煙、あるいはビタミンCの低値との関連も示されています。したがって血圧を積極的にコントロールすることは非常に大切ですが、上記のコントロール、禁煙、あるいはビタミンCの摂取も有効と考えられます。大脳白質病変は進行する場合が多いのですが、ある種の薬で進行が抑制されるとの報告もあり、白質病変が大きい場合、私は患者さんと相談して処方する事はあります。

以上、脳卒中発症のリスクとなる脳内病変について説明しました。記述からもおわかりのように、これらが存在する場合血圧を積極的に管理することは非常に大切です。(併存する他の因子の管理も必要ですが)知っておいて下さい。

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