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健康診断での検尿での尿蛋白を指摘された場合は?

わが国においては、一般住民健診、特定健診、職場健診、学校健診などで幅広く検尿が行われています。そして検尿で蛋白尿を指摘され、再検査あるいは医療機関への受診を指示されることがあるかと思われます。これはなぜかというと、尿試験紙で蛋白尿が1+以上の人は−の人と比べて、慢性腎臓病(CVD)である可能性が高く、さらに末期腎不全(ESKD)に至るリスクのみならず心血管死や死亡などを生じるリスクが明らかに高いことが示されているからです。そして尿蛋白−に比べて、±、1+、2+以上と用量依存性にリスクが高くなることが明らかにされています。たとえば心血管死に至るリスクは尿蛋白−の人に比べて±の人で1.47倍、1+で1.88倍、2+以上で2.44倍と報告されており末期腎不全に至るリスクでは尿蛋白−の人に比べ±/1+で2.5倍、2+以上の人は3.8倍と報告されています。CKDの重症度の指標として尿中のアルブミン量が測定されますが、一般の診療現場においては糖尿病性の腎障害以外の場合は、保険での診療が認められていません。しかし尿蛋白が1+以上である場合は尿中のアルブミンが陽性であることが示されています。

そのため検尿での尿蛋白の検出が重要なリスク情報となるのです。しがたってわが国においては尿蛋白1+以上をスクリーニングとして末期腎不全や心血管死のハイリスクな人を検出する合理的な方法として検尿が行われているのです。しかし残念ながら現時点において健診で尿蛋白1+以上の人を医療機関に受信してもらうことにより、その人の生命予後を改善させることができるという直接的な証拠となる報告はありません。しかし尿蛋白1+以上の人を医療機関に受診してもらうことにより、腎疾患、生活習慣病、心血管障害の早期発見、早期介入が行われることにより、それらの発症予防やその人の生命予後の改善につながる可能性が強く考えられます。

そのために健診で尿蛋白1+以上を指摘された人は医療機関への受診が進められているのです。

以上上記を周知されて下さい。

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