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不整脈(上室性期外収縮・心室性期外収縮)をどうするか

上室性期外収縮(PAC)は日常生活において頻回に出現する不整脈であり、健常な人においても観察でき、(9割以上の人に認める)、加齢と共に増加します。PACを誘発する因子としては、カフェイン飲料、アルコール、ストレス、疲労、喫煙などの生活習慣によるものや、慢性閉塞性肺疾患、心臓弁膜症、心筋症、高血圧症などの疾患によるものなどさまざまなものがあります。PACは100拍/日までは正常と捉えられており、症状はないことも多く(動悸などを訴える事はある)、体への血液の流れる動態に与える影響は少なく、治療の対象となることはまれです。しかし器質的心疾患のない人でも100拍/日以上のPACの出現は新規心房細動の予測因子となることが報告されています。また住民検診の心電図でPACが記録された人は心房細動と心血管死する人が有意に多く、そしてPACが脳卒中、心血管病、冠動脈疾患と関連することが指摘されています。昨今、脳梗塞の原因が明らかでない脳梗塞が全体の20〜25%占めているとされており、潜因性脳梗塞と呼ばれており、その大部分は塞栓症が原因と報告されています。そして塞栓症とは考えられるが、塞栓源が不明な胸塞栓症をESUS(塞栓源不明脳栓症)といい、ESUSの既往のある人においてはPACが臨床的な意義を有します。ESUS患者さんにおいて、24時間心電図検査でPACの頻度が多い人は新規心電細動の発症率が高く、1000拍/回以上の人はその40%に新規心房細動が発見されています。PACは通常治療の必要はありません。QOLを損うときは治療を考えますが、まずはアルコール、カフェインなどの生活スタイルの影響がある場合は、その修正をしていただくことが大事です。時に服薬をしていただくこともあります。上記のESUSでPACの多い人は服薬だけでなく、カテーテルアブレーションという侵襲的治療も必要となることもあります。次に心室性期外収縮(PVC)について説明します。PVCは住民検診などでみられることが多い不整脈で、治療の対象とするかどうかは、自覚症状、器質的心疾患をもたれているかどうか、心室頻拍への移行などの高リスク(リスクの詳細は略)があるかなどの検討が必要となります。治療は生活習慣の改善あるいは経過観察をしていただく人から服薬、カテーテルアブレーションを検討するなど上記を詳細に検討します。
器質的心疾患の有無に関わらず1日の総心拍数の10%以上(1万個以上)のP VCを認める人は(高リスクになる)心質期外収縮誘発心筋症のリスクがあるため治療の検討が必要です。治療により心機能の改善を認めることがあるからです。PVCはPACにくらべその形態などにより命に関わることも多く、慎重な判断が我々医師に求められます。以上、PAC、PVCに関して概略を説明しました。住民検診などで指摘された人、動悸などのある人はまずは我々循環器医を受診して下さい。

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