お知らせ
アナフィラキシー COVID-19ワクチン接種に関連して
新型コロナウイルス感染症COVID-19が蔓延している中、高齢者におけるワクチン接種が順次行なわれ始めています。そこで積極的にワクチン接種を希望される人が多い中で、自病や副反応のことを心配され接種をまよわれる人もしばしば見受けられます。
副反応の中で多く認められるのは、接種部位の痛み、倦怠感、発熱(接種1日以後に多い)などですが、ごくまれにアナフィラキシーという症状が出現することもあります。接種される人の多くは自病があり接種は可能かということのほか上記副反応特にアナフィラキシーということに心配されておられる人が多いようにお話を伺うと感じています。そこで今回はアナフィラキシーについて説明します。アナフィラキシーは「アレキゲン(アレルギーの原因となるもの)の生体内への侵入により複数の臓器に全身性にアレルギー症状が惹起され、生命に危機を与えうる過剰反応」と定義されています。アナフィラキシーの発症は、原因にばくろされてから30分以内におこることが多いとされています。症状としては以下のようなものがあります。◯皮慮粘膜症状:じんま疹、皮フ紅潮、局所の浮腫(血管性浮腫)◯呼吸器症状:呼吸困難、喘鳴、喉頭浮腫、鼻炎◯循環器症状:めまい、失神、血圧低下◯消化器症状:腹痛、嘔吐。など そのうちCOVID-19に対するワクチン接種ではアレルゲンのばくろにより急変(数分〜数時間以内)に上記4つの症状が出現しうり、そのうち2つ以上の臓器症状が出現した場合にアナフィラキシーと診断します。アナフィラキシーが出現した場合の治療としては、まずは全身状態の確認(血圧、脈拍数、呼吸数など)をおこない、症状の重症度を決定します。ごく経度の皮フ症状や腹部症状のみが出現された場合は、薬の内服あるいは点滴などにより症状は改善し、帰宅されてもかまいません。しかしアナフィラキシーは発現は原因にばくろ後30分〜2時間であられる即時反応と12〜24時間に出現する遅発発応の2峰性を示すことがあり(遅発発応の発生頻度は10〜20%)、症状の改善が認められるものの充分でない人に対しては経過観察のため入院して観理してさせていただくこともあります。
各種臓器症状が出現しその改善が乏しい人は、初期治療をおこなったうえ入院していただき、全身状態の改善をはかります。ごくまれではありますが、アナフィラキシーによる最重症症状の喉頭浮腫による気道閉塞や血圧低下によるショックは致死的な状態であるため、ただちに気道の確保と血液の循環の改善を行ないうる施設に入院していただきます。
これらアナフィラキシーに必要なのは24時間以内の初期対応であり遅発反応の可能性がなくなれば問題なく退院していただきます。
COVID-19に対するワクチン接種に関しても初期対応はできる施設・診療所で行われますのでアナフィラキシーの出現に対する過剰な心配はなさらなくてもよいと思えます。
自病をもたれている人は高齢者の多くの人がそうであり、ほとんどの人が問題なくワクチン接種を受けられていますが一応は主治医との相談の上ワクチンの接種をして下さい。ちなみに私の診療所ではワクチン接種をされないほうがよいのではとお答えした人はいません。(100歳以上で訪問診療をしているある種の人を除いて)以上アナフィラキシー(主にCOVID-19と関連して)について説明しました。