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高血圧 新型コロナウイルス感染症の感染・重症化に対する影響は?

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するワクチン接種が進むなか、連日変異ウイルス株による(発症)を含むCOVID-19の人数が報道され、重症化し死亡する人の数も報道されています。
COVID-19の重症化因子として年齢、高血圧、糖尿病、心血管疾患、慢性呼吸器疾患などが指摘されています。特にCOVID-19の患者さんに高血圧の人が多く、その関連に対して色々議論がされています。
そこで今回は高血圧がCOVID-19に対する影響などを記載します。2019年12月のCOVID-19の突発的な発生当初からCOVID-19患者さんに高血圧の合併が多いことが指摘され、新型コロナウイルス(SARS-COV-2)感染と高血圧の関連が注目されていました。しかしこのことはその後の研究でCOVID-19患者さんで高血圧の頻度が高いのはCOVID-19患者さんに高齢の人が多いからであり、高血圧単独ではCOVID-19を発症する率には大きな影響は与えないことは示されています。すなわち高血圧がSARS-COV-2感染のリスクを高めることは示されてはいません。一方COVID-19の重症化及び死亡については高血圧単独で危険因子となる可能性が指摘されています。たとえば高血圧の合併は、そうでない場合と比べ重症化率、そして後の報告では死亡率も2倍以上であったと報告されています。また高血圧の治療を受けていない高血圧患者さんは治療を受けている人と比較すると死亡率は2倍以上であったとの報告もあります。しかしそれに反して高血圧がCOVID-19の重症化・死亡に大きく影響しない可能性も指摘されており、重症化する率は高血圧の人もそうでない人も同等であったとの報告や死亡率も高血圧単独では上昇させなかったなどの報告があります。つまり高血圧がCOVID-19の重症化に一定の役割をはたす可能性はあるものの、高血圧が単独で明らかな重症化、死亡のリスク因子となることを支持する証拠は現時点では得られていないということです。そして重症のCOVID-19に高血圧の合併の人が多いのは、高血圧を合併する人の多い高齢者で感染が重症化しやすいことの反映と考えられるということです。
また高血圧は心臓や腎臓の機能低下(心不全、腎不全)のリスクであり、その臓器不全の増悪を介して、COVID-19の重症化を進展される可能性も考えられるのです。
以上高血圧のCOVID-19に対する影響については現在の知見を説明しました。
上記に関連したことをつけ加えると、高血圧の人に我々がよく処方する薬にCOVID-19の重症化を抑制する可能性があるという報告が最近増加しています。これに関しては診察時に患者者さんからの質問があればお答えします。(COVID-19に罹患した高血圧の人を診療しているわけではないので)

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