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患者さんからの質問に答えて

@血圧を毎日朝・寝る前に測定しているが、その時の脈拍がいつも早いのだがこれはよくないことなのか?(高血圧で治療中)
まずは脈拍を早くする高血圧以外の原因となる疾患などはないのか考えてみます。たとえば甲状腺の機能の異常(亢進症)、貧血、アルコールの過剰摂取、肺の病気(低酸素をきたしている)肥満、などです。高血圧の薬でも脈拍が早くなる機序をもった薬はありますが、一日をとおして早くなることはまれでしょう。(薬を変更してみるのもひとつの方法ですが)脈拍は定義上50〜100/分は正常とされています。(規則正しい場合)しかし安静時に100/分近いというのはやはり早いと考えられます。日本人における脈拍数の平均は女性で74/分、男性で70/分で、年齢にかかわらず±5/分程度の範囲に収まっていると報告されています。高血圧の人の場合、朝の家庭での血圧測定で脈拍が70/分をこえると脳心管病による死亡が増加することが報告されています。また最近では夜間の脈拍数が脳心血病を有意に予測できるとのことも報告されています。そしてこれらの脈拍の早い人に対しての薬の内服による脈拍の減少が脳心管病の予後を改善するとの報告もあります。脈拍も早く、血圧も高い場合、脳心管病の死亡リスクはさらに増加すると知られます。したがって私は冒頭の質問をされるような人には、他の脈拍を早くする原因となる疾患などがない場合は、患者さんに説明して、脈拍を遅くする薬を服用していただいて、加療、経過の観察をさせていただいています。(薬の内服ができない疾患をお持ちの人以外)至適な脈拍数は証明されていませんが、おおむね経過はよく、患者さんにも喜ばれています。
A血圧の薬を服用しても、下の血圧が高い。
このような質問は成壮年(ある程度若い人)の人からうけることを多く感じます。血圧を測定する動脈は加齢と伴に動脈硬化が進行し、硬くなります。(一般の人も)しかし成壮年の人はまだ動脈の弾性が保たれていることが多いのです。(やわらかい)
このような人では、下の血圧が高くなることをしばしば見受けます。反対に高齢の人は下の血圧が低くなることが多く、いわゆる収縮期高血圧(上の血圧だけが高い)の状態によくなります。(これらをひきおこす病態は省略)また、一日を通しての塩分の摂取量の多い人も、下の血圧は高くなります。(体液量の増加などにより)したがって高血圧すべての人に対していえることですが、まずは塩分摂取を少なくしてみて下さい。それにより下の血圧が低下傾向になる人は、しばしばおられます。私をそれを補助する意味で体液量を少なくする方向に作用する降圧利尿薬を服用していただくことも多くあります。(上記の病態と捉えられる人に対して)

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