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患者さんの質問に答える(パートU)

@動悸が時々おこり、その時に脈がとんでいるが大丈夫か?
質問の病態は上室性期外収縮(PAC)あるいは心室性期外収縮(PVC)という不整脈が出現していると考えられます。上室性期外収縮は健常な人でも9割以上の人に認められ、カフェイン、アルコール摂取、ストレス、疲労、COPD、心臓弁膜症などで増加することがあるものです。PACは100拍/日程度までは正常と考えられており、症状などは少なく治療対象となることはまれです。したがって生活の質をそこなうものでなければ、カフェイン、アルコール摂取を制限するか、ストレス疲労などの軽減に努めるようにされたらと考えられます。(ライフスタイルの修正)しかしPACは100拍/日以上でる人では、将来の心房細動の予測因子となります。心房細動は放置しておくと心原性脳塞栓という大きな脳梗塞の原因となることがあります。そのためPACの多い人では長時間心電図モニターをされ心房細動の出現がないか検査されることも考慮されます。心房細動の出現があれば、抗凝固薬の服用が考慮されます。PVCは自己症状がないか、軽い人では生活習慣の改善などをしていただくか、あるいは軽い精神安定剤の服用のみで様子をみていただくことが多いと考えます。しかしPVCが重篤な不整脈を誘発したり(器質的心疾患のある人、心機能が低下している人、遺伝性の不整脈の家族歴のある人などにみられる)PVCの多い人では心臓の機能が低下する(心室期外収縮誘発心筋症という)こともあるため、そのような人では検査が必要です。そして検査の結果により薬の服用が必要と考慮される場合があります。たとえばPVCが1日の必拍数の10%以上出現、一日中出現など。重篤な不整脈の出現が認められた場合、植込み型除細動器などの挿着が必要となることもあります。自覚症状も出現することが上記の場合多いため、当院など循環器内科を受診されることをお勧めします。
A検診で高血圧を指摘されたが治療は必要か?40前半の男性
高血圧を指摘されたということは血圧が140/-、-/90以上あるいはその両方があるということになります。この場合、血圧が高血圧レベルを継続しているかの確認と血圧レベルの評価、二次性高血圧(本能性高血圧ではなく、特定の原因による高血圧)かどうかの評価、高血圧以外の動脈硬化を惹起する危険因子の評価などが必要と考えられます。上記の評価などにより本能性高血圧(140かつ/または90以上)と確認された場合、血圧以外の生命予後に影響する因子(65歳以上、男性、喫煙、脂質の異常、糖尿病、蛋白尿のでる慢性腎臓病、心房細動など)を考慮し、その数また血圧レベル(T度、U度、V度の高血圧)により、ただちに降圧薬の服用が必要あるいは約1ヶ月食事などの生活習慣の修正の後に再評価をして降圧薬の服用の検討を要する人がおられます。どちらにせよ、その人の血圧を低下させ、脳心血管病の発症、血圧が高値なための臓器障害の予防が必要となります。私見では成壮年で高血圧の人は、まだ若いからと半年以上放置しておられる人を多く見受けます。その対応は正しくはありません。若いうちに血圧を安定化させ、動脈硬化の過度な進行による脳梗塞、心筋梗塞などの血管の障害を防ぎ、健康寿命をのばされるのが良いと当然考えられます。まず加療の必要の有無を評価するために、循環器内科へ受診され医師の判断をあおぐことをお勧めします。

 

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