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患者さんの質問に答える(パートV)

心筋梗塞後、服薬する薬の量が急にふえた。高血圧で一剤のみ服薬していたが
心筋梗塞は心臓に血液を供給する冠動脈に生じたプラーク(動脈硬化の強い病変)の破綻により急速に冠動脈の閉塞や高度な狭窄がおこることで心臓の筋肉が壊死におちいる病態です。多くの場合、発症した急性期に冠動脈内の高度狭窄・閉塞の病変部にステント(金属でできた網目の筒状のもの)を挿入して閉塞を解除し血流を回復させます。しかし血流の回復までの時間の長短により心臓の筋肉の壊死量に差が生じます。また壊死した筋肉は薄く繊維化し、機能しません。そのため心筋梗塞後の心筋の収縮能は低下し、(低下の大小は上記によりある)心臓は拡大することは少なくありません。(リモデリングという)冠動脈内に挿入したステント内に後に血栓が生じ、再度狭窄・閉塞におちいるリスクもあります。したがって心筋梗塞後の人には血栓形成による冠動脈の再度の狭窄・閉塞による心血管の事故を防ぎ、またリモデリングの進行を抑制する必要があります。
そのため血栓形成抑制には抗血小板剤という薬を服用(一定期間は二種類、その後は一種類)していただき、リモデリングの抑制に多くの場合二種類の薬を服用していただくことが必要となります。また心筋梗塞後の人の血液中のコレステロール、特にLDL-コレステロールを低下させることによりその後の心血管事故が減少することが明確にされています。
(低下量に相関する。低下により冠動脈内のプラークが退縮する)
そのためにLDLコレステロールを低下させる薬の服用も必要です。
心筋梗塞後の人には、その後の生命予後を悪化させないために、少なくとも上記の薬を服用していただくようになり、梗塞前とくらべて服用数は数種類増加することになります。おわかりいただけたでしょうか。ご理解下さい。

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