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糖尿病、高血圧があり腎機能が低下している。改善させる方法はないのか(質問)

慢性腎臓病(CKD)の重症度は原疾患(Cause)、腎機能(GFR)、蛋白尿、アルブミン尿(Albuminuria)に基づき、各々の頭のローマ字表記をとってCGA分類で表されます。それによりGFR(糸球体濾過量)(アルブミン尿・蛋白尿)の程度によりG1〜G5に区分されます。(G3はG3aとG3bに区分される)この場合、G3a区分までのいわゆる軽度〜中等度の腎機能低下を認める人に対しての生活習慣の修正すなわち適正な体重の管理(BMI(体格指数)22〜24.9)、適度な運動(散歩、自転車走行など)、禁煙、塩分制限(1日に6g未満)はGFR区分にもとづいたCKDを改善する可能性は充分認められます。また糖尿病、高血圧症、脂質異常症などの併存疾患をおもちの人は血糖をHbA1cで7.0%未満に低下させる、血圧を蛋白尿のある人では130/80mmHg未満、蛋白尿のない人では140/90mmHg未満に低下させる(ただし糖尿病の人はどちらも130/80mmHg未満に低下させる)、血清脂質をLDLコレステロール120mg/dl未満、HDLコレステロール40mg/dl以上、中性脂肪150mg/dl未満(空腹時)にすることを目指すことにより同様にCKDの重症度区分を改善させることは可能です。しかしご質問のGFR区分のG4以下の高度の腎機能低下の人においてはもちろん生活習慣(個々の人の病態を考えながら蛋白質摂取の制限をおこなうことも含む)の修正は必要です。また併存疾患の管理も同様に重要です。しかし進行期(高度)の腎機能低下のある人では、たとえば高血圧では腎保護作用がある薬の服用によりさらに腎機能が悪化する可能性があります。糖尿病の人ではHbA1c7.0%未満の血糖管理で腎機能低下の進行を抑制する証明は明らかではなく、またHbA1c7.0%未満では低血糖に注意する必要があります。さらに脂質特に中性脂肪を低下させる薬はこれらの腎機能低下の人では慎重な服用が必要もしくは服用禁忌となるのです。最近、腎機能の低下した人に承認された薬は高度の腎機能の低下に対しては効果は不確実で慎重投与となっています。CKDの人には貧血、電解質(Na、K、Ca、Pなど)の異常やその他種々の病態をもたれていることが少なくなく、これらの把握できている病態を勘案しながら慎重にまた頻回に経過を追いながら加療を続けられることが重要かと思います。
高度の腎機能低下の人の加療は、その進行を遅らせることは可能であっても改善は困難です。しかし上記の事をされることは重要です。頑張って下さい。

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