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診療所での血圧はよいのに、デイサービスでの血圧はいつも高い。どうしてか(質問)

高血圧の人でデイサービスで測定した血圧が頻回に高血圧領域であり、クリニックで測定した血圧がほとんど140/90mmHg未満であるということは、診療室血圧が正常で診察室外血圧が高血圧ということになります。デイサービスでの血圧測定状態は提供場所に到着した後、10〜20分の安静後に測定するとのことであり、これらを勘案するとこの人の高血圧は朝あるいは昼間の仮面高血圧との診断になると思われました。(仮面高血圧の詳細は以前のWebで記載している)そこで家庭血圧は測定したことがないとのことであったため、その測定をしていただいたところ、家庭血圧は多くの場合135/85mmHg以上を示し、なおかつ診療時は140/90mmHg未満であり、上記が正当な診断と考えます。
仮面高血圧の高リスクとなる人の特徴は種々ありますが、リスクのあるなしにかかわらず一般の人の10〜15%、高血圧で140/90mmHg未満の診察時血圧のコントロール良好な人の9〜23%に仮面高血圧はみられるとされています。そして仮面高血圧であるこの人の重大なことは、脳心血管病のリスクが持続性高血圧の人と同様に高く、なおかつ高血圧による臓器障害が進行している可能性が高いということです。したがって年齢や他の併存疾患の有無を考慮し、めまいなどの自覚症状や脳・心・腎の臓器の機能障害や機能低下を惹起しうる過降圧に注意し、血圧の低下をさせていただくことが必要と考えられます。
一方デイサービス、クリニックで同様な血圧所見があると訴えられるものの家庭血圧は135/85mmHg未満で良好なコントロールの人もしばしば見受けます。血圧の変動病態は多様かつ複雑でその人の併存疾患や精神的な要因があり単一には解明できません。しかし私見としては、これらの人はデイサービスの受容あるいはデイサービスへ通うこと自体が精神的・身体的ストレスとなっており、結果デイサービスで測定した血圧が高値である可能性も否定できないと考えます。そうであるならばデイサービスがその人の認知、身体機能にとって必要であれば、デイサービスの提供場所の変更、通う曜日の変更などの考慮も必要と思われます。以上今回の質問に対するお答えをしましたが、後者の質問は血圧の変動の要因を考えると、シンプルな回答はできなく深慮が必要です。

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